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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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忙しい・・・。忙しいのに、会社の飲み会がちょくちょく入ってきて、「働かせろ!」と文句を言いたくなります。仕事ですから締め切りがあるのに、飲んでる暇なんかないっちゅーねん。
この、怠け者の橘が働きたいなんて、鬼の霍乱なんだからねっ!!

今日は会社半休もらって、また病院行きました。木、金は、15分くらいの会議のために、10万かけて広島と高松ですよ。テレビ会議でいいんじゃないの? と思うのですが、会社のお金で行けるので、観光してきます。厳島神社は行く時間ないかも知れない・・・。でも行きたい!(笑)

さ。パパヴァンツァーの続きです。


**********

少し遅めの朝食は、フレンチトーストとアスパラ、ベーコン、ミニトマトの炒め物。
メープルシロップをたっぷりかけたフレンチトーストにご満悦の四つ子は、玩具屋さんへの道中も大層ご機嫌だった。
10階建のビル丸ごと玩具で埋め尽くされた夢のような空間に、子どもたちは大きな目をきらきらと輝かせた。

「パパ!」
「パパ!」

左右からヴァンツァーの手を引いたアリアとリチェルカーレは、ぴょんぴょん飛び跳ねながら『お願い』をした。

「リチェ、おもちゃもほしい!」
「アリアも!」

いいでしょ? いいでしょ? と言ってくる娘たちに、ヴァンツァーは「う~ん」と悩むフリをして、身を屈めた。

「1つずつだぞ?」
「「きゃあ~~~~~」」
「──その代わり」

ちょっと真剣な顔をする父に、娘たちは互いの手をぎゅっと握って言葉を待った。

「片付けが出来なかったら、家にある玩具は全部捨ててしまうからな?」
「「う・・・」」

子どもたちには大層甘いヴァンツァーであったが、約束は必ず守らせる。
どちらかと言えば、その辺りはシェラの方がなあなあだ。
まずダメとは言われないので、子どもたちが『おねだり』をするのは圧倒的にヴァンツァーの方が多い。
それでも、毎回こうして何かしらの約束事が生まれる。
飴と鞭の扱いは、誑し込みの専門家であった彼には造作もないことだ。

「アリア、おかたづけできるよ!」
「リチェも!」

元気いっぱいに頷く娘たちに、ヴァンツァーはにっこりと微笑みかけた。

「じゃあ、好きな玩具を持っておいで」
「「きゃあ~~~~~~」」

大歓声を上げて駆けて行こうとする娘たちを抱きとめ、「走らない」ともうひとつ約束をさせる。
こくこく頷いた銀色の天使ふたりは、仲良く手を繋ぎ、時々走りそうになるのをぐっと堪えて玩具探しに向かった。

「お前たちも、好きなものを持っておいで」

それまで静かに成り行きを見守っていた黒髪の天使ふたりにも、ヴァンツァーは笑みを向けた。
家族の前では笑顔の大盤振る舞いをする超絶美形の男に、周囲はだいぶざわついているのだが、慣れっこになっている彼らは気にした様子もない。

「プールで遊べるもの?」

大きな藍色の瞳で見上げてくる息子に、ヴァンツァーは「何でもいいよ」と答えた。

「プールは俺が探してくる。欲しいものが見つかったら、四人揃った状態で端末に連絡をくれれば、迎えに行くよ」

ロンドとフーガは、子ども用の携帯端末を持たされている。
アリアとリチェルカーレはポシェットがGPS機能付きだ。

「じゃあ、フーちゃん、行こうか?」

差し出されたロンドの手を取り、フーガはこくん、と頷いた。
子どもたちを見送ったヴァンツァーは、店内の案内板を頼りに目当てのものを探した。
夏の終わりで、最盛期ほどの種類はなさそうだが、『おにわでするまぁるい』プールを見つけた。
子どもたちであれば、四人で入っても十分な大きさのものがあったので、カートに入れる。
プールや海で使えるボールや玩具の類は家にもあるので、彼自身はこれ以上買うものがない。
連絡をくれ、とは言ったが、子どもたちを探しながら連絡を待つ方が効率が良かろうと、子どもたちの行きそうな場所に当たりをつけて歩き出す。
アリアとリチェルカーレは、十中八九『お姫様』関連の何かを探しているはずだ。
プール関連の玩具があるのとは違うフロアだが、このビルは昇降機に必ず店の職員が1名以上ついていて、ちいさな子どもだけでも安全に移動することが出来る。
果たして、娘たちは「「パパこれ!」」と、ヴァンツァーに手にしたものを差し出した。
子どもたちの間で人気のある、プリンセスアニメのぬり絵とシャボン玉セットだ。
微笑ましく思いながらそれを受け取ったヴァンツァーだったのだが、「「あのね、あのね」」と娘たちに袖を引かれて目を瞠る。

「アリアね、もういっこほしいのがあるの・・・」
「リチェもね、アリアとおんなじのほしいの・・・」

憐れを誘うように眉を下げている娘たちに、ヴァンツァーは内心苦笑した。
玩具くらい、いくらでも買ってやるだけの財力はあるのだけれど、約束は約束。

「ひとつずつの約束だろう?」

しゃがみ込んでそう言えば、色違いの瞳にぷっくりと涙が浮かぶ。

「──あれ。アーちゃん、りっちゃん、もう決めたの?」

そこへやってきたのはロンドで、その手にはカラフルな組み立てブロックの玩具が入ったバケツ。
彼はこれが大好きで、プロックやレールの玩具をひたすら繋いで遊ぶのが、最近のお気に入りだ。

「ロンちゃん」
「ロンちゃん、あのね」
「アリアね、もりのおうちがほしいの」
「リチェも、うさぎさんのおにんぎょうのがほしいの」
「ふたりとも、同じものでいいの?」

訊ねてくる同い年の兄に、ふたりは揃って首を振った。

「ぬりえもほしいの・・・」
「シャボンだまも、ほしいの・・・」
「あー・・・」

困ったように、ロンドは眉をハの字にした。

「どれか、今度にしたら?」
「うーん・・・」
「うーん・・・」

父に渡した玩具と、ちいさなドールがたくさん入るハウスのある方を、交互に見やる。
さて、子どもたちはどんな答えを出すかな、と少し楽しみにしていたヴァンツァーの視界に、もうひとりの息子がやってくるのが見えた。

「フーガ」

決まったのか? と訊こうとしたのだけれど。
ビクッ、と肩を震わせた息子は、さらさらの黒髪をなびかせてどこかへ駆けて行った。

「あ、フーちゃんはしった!」
「はしった!」

約束を破るなんて──それも、大好きなヴァンツァーとの約束を破るなんて絶対にしないフーガの行動に、アリアとリチェルカーレはびっくりして涙も引っ込んだようだ。
それからすぐに戻ってきたフーガの手にあるものを見て、銀色の天使たちは色違いの瞳を真ん丸にした。

「それ!」
「それ!」
「リチェがほしかったやつ!」
「アリアも!」

そんなことを言う妹たちに微笑んで、フーガはヴァンツァーにそれを差し出した。

「ぼく、これでもいい?」
「フーガ」
「ぼく、これでアリアたちと遊びたい」

お願い、と渡されたものを、ヴァンツァーは「分かった」と受け取った。

「玩具とプールを買ってくるから、四人ともプレイルームで少し遊んでおいで。迎えに行くから」

ここには、子どもたちが遊ぶためのプレイルームがある。
ネットで囲われた空間は、やわらかいボールで満たされていて、監視員もいる安全な場所だ。
四人を送り出したヴァンツァーは、軽く嘆息してカートの中の玩具に目を遣った。


+++++


会計を済ませ、子どもたちを迎えに行って家に戻ると、ヴァンツァーは早速庭にプールを準備した。
大人でも数人は余裕で入れる大きさのプールにぬるめの水が満たされると、子どもたちはきゃーきゃーはしゃいで水浴びをした。
小一時間ほど水浴びを楽しんだ子どもたちは、揃って父に「ありがとう!」と言った。
それを笑顔で受け止めたヴァンツァーは、買ってきた玩具を子どもたちに配った。
欲しかったものを手にした子どもたちは、歓声を上げて自分たちの部屋へと向かった。

「──フーガ」

呼び止められた少年は、軽く首を傾げて父を見上げた。

「どうぞ」

渡されたものに、菫色の瞳を丸くする。

「ぼく、もうもらったよ?」
「あぁ。それはお前が選んだドールハウスだな」
「うん、だから」
「ひとりひとつだからな」
「・・・父さん?」

よく分からなくて首を傾げるフーガの黒髪を、大きな手がそっと撫でる。

「今フーガに渡したのは、俺の分だ」
「──え?」
「俺が気に入って買ったものだけど、もし良かったら使ってくれないか?」

何のことだろう、と今渡された玩具の袋を開けたフーガは、限界まで目を見開いた。

「──これ・・・」
「どうかな?」

使ってくれるか? と悪戯っぽい表情で訊ねてくる父に、フーガの瞳がみるみるうちに潤んでいった。
そうして、逞しい首にぎゅっと抱きついたのだ。

「・・・大好き」

ささやかれた真っ直ぐな言葉に、ヴァンツァーは一瞬目を瞠ったあと、ゆったりと笑みを浮かべた。

「気に入ってくれて良かったよ」

さあ、遊んでおいで、と送り出したフーガの手には、鮮やかな色彩の、美しい鳥たちがたくさん映った図鑑が大事そうに抱えられていた。



**********

さ。明日は8時20分羽田発です。広島行って、お好み焼き食べるぞ~~~!(笑)
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