小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
昨夜はライオンの抱き枕にエゴプラつけて、エゴプライオンにして抱いて寝てました。あはは、ポン・デ・ライオンみたいな抱き枕だから、スコール抱いて寝てるってことか(笑)あの子もエゴプラつけそうだ。
あ、ちなみに、この小ネタはファロット一家のヴァンシェラではなく、デキてるんだかデキてないんだかもうお前らくっついちゃえよ、なヴァンシェラです。
あ、ちなみに、この小ネタはファロット一家のヴァンシェラではなく、デキてるんだかデキてないんだかもうお前らくっついちゃえよ、なヴァンシェラです。
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「エマ、パターンはここでいい?」
山のような紙束を手に現れたシェラを前にして、ピンヒールの似合う美女は目を瞠った。
「──もう出来たの?」
「縫製室に、頼まれてたレース編みも置いてあるから」
「・・・・・・」
「他にやることは?」
緑の目を真ん丸にしている同僚に小首を傾げて訊ねるシェラ。
仕草は可愛らしいが、その表情は何かを焦っているようにも見えた。
「いいえ」
「・・・私に出来ることはない?」
「違うわ、シェラ」
エマは『仕方ない』といった感じで苦笑した。
「ごめんなさい。わたしの手が追いついていないの」
「・・・手伝うよ」
「もうすぐお昼だから、早めに休憩に入ったら?」
「でも・・・」
「──寝不足?」
「え・・・?」
頬と目元に触れられて、シェラは目をぱちくりさせた。
「隈、出来てるわよ。せっかくの可愛い顔なのに」
「・・・そんなの、どうでもいいんだ」
「あら、良くないわよ。わたしはシェラの可愛い顔を見て、やる気出してるんだから」
ムサくて無愛想な男の顔なんて見ても楽しくないのよ、と笑う美女に、シェラもくすっと笑った。
「気をつける」
「──あ、そうだ。【レベッカ】でさつまいもとマロンのスコーン買ってきてくれない? あれ絶品なのよ~」
「うん、いいよ。じゃあ、お昼はみんなで【レベッカ】のパンにしようか。スープも買ってくる」
「そんなに買って、ひとりで平気?」
「平気だよ」
「ヴァンツァーにでも運転させればいいのに」
「・・・平気」
一瞬表情を強ばらせたシェラだったが、すぐに笑みを浮かべた。
そうして、アトリエを出て行ったのである。
その後ろ姿を見送ったエマは、深々とため息を零した。
「あなた、まさか仕事にかまけてシェラのこと放ったらかしてるんじゃないでしょうね」
腰に手を当てて睨んでくるエマに、ヴァンツァーは「何の話だ」と手元の端末から顔も上げずに言った。
「あの子、わたしたちの倍の仕事しながら、もっと仕事ないのか、って訊いてくるのよ? どっかの誰かさんみたい」
「──倍?」
「パターン起こし、マーキング、裁断、レース編みに小物作り。申し訳ないけど、こっちの手が追いつかない速さで仕事してるわ」
「優秀だな」
「──呑気なこと言ってんじゃないわよ!」
荒らげられた声に、煩そうな視線を向けるヴァンツァー。
「あの子、心配事があるとわざと忙しくして考えないようにする癖あるんだから。知らないわけじゃないでしょう?」
「俺にそれを聞き出して解決しろと?」
「そもそもあなたが原因じゃないの」
「知らん」
「見りゃ分かるでしょうが。仕事しててもちらちらこの執務室の方見てるし、あなたの名前出すと顔強張らせるし」
「随分と嫌われたものだ」
肩をすくめてため息を零す男に、エマはぽかん、とした表情になった。
「・・・ちょっと」
「何だ。忙しい。要件がそれだけなら出て行け」
「ちょっと待ってよ」
「だから何だ」
苛立ちも露な声で顔を上げた男に、エマはおそるおそる訊ねてみた。
「・・・嫌い? あなた、シェラがあなたのこと嫌ってると思ってるの?」
「そういうことだろう?」
「馬鹿言わないでよ・・・」
愕然とした表情で額を押さえているスタイリストに、ヴァンツァーは『さっさと説明しろ』という目を向けた。
「・・・あの子、あなたを見て苦しんでるのよ?」
「あぁ、そうだろうな。あいつには、絶対に俺を赦せない理由がある」
「何言ってるのかよく分からないけど、そういうことじゃないのよ。あの子はあなたが心配なの」
「心配? なぜ?」
この言葉には思わず絶句した。
「な・・・なぜじゃないわよ。あなたが寝食忘れて仕事するほど忙しいからでしょうが」
「別にこれくらいなんともない」
「あなたが良くてもあの子にとっては良くないの。心配なの」
「だから、なぜあれが俺の心配をするんだ」
「・・・・・・」
ダメだこの男言葉が通じない、と苦い顔で額を押さえたエマ。
怒ればいいのか、諭せばいいのか分からず、とりあえず見たままの事実を述べた。
「あの子は、あなたのことが好きなのよ」
「それこそ馬鹿を言うな。そんなことはあり得ない」
「・・・・・・あなた、それ本気で言ってるの?」
「最近は以前ほど毛嫌いされていないというだけで、好意は持たれていない」
「・・・・・・」
驚きを通り越して、ある種の憐憫を覚えてしまったエマである。
「あなた・・・壊滅的に女心が分からないのね」
別にそんなもの分かりたくもない、という顔になったヴァンツァーに、胃が痛くなる思いがした。
「他はどうでもいいけど、あの子のことだけはもうちょっと考えてあげなさいよ」
「エマ。いい加減にしろ。俺には言い合いをしている暇はない」
「──だからその暇を作れって言ってるのよこのすっとこどっこい!!」
藍色の目が丸くなる。
自分にそんな言葉を吐く女にはまず出会わない。
この職場の女たちがかなり珍しい部類に入ることは分かっているが、まさか『すっとこどっこい』と言われるとは。
「いい? あの子はね、それだけ忙しくしているあなたが、いつか身体を壊すんじゃないかって心配なの」
「だから」
「お黙りなさい!」
「・・・・・・」
「人間は気力で動く生き物なの。多少身体がキツくても、気持ちひとつで動けちゃうものなのよ。──でもね、いいこと? その緊張がふ、と途切れたときに、今までのツケが一気に回ってきて倒れたりするの。シェラはそれを心配してるのよ」
これだけ言ってもまだよく分からない、という顔をしている男に、エマは何だか泣きたくなってきた。
「・・・シェラが可哀想。何であなたみたいなろくでなしに惚れちゃったのかしら。他にイイ男はいっぱいいるのに」
「だから、あれは別にそんな感情は」
「あなたその顔なんだから、自分のことを見て目の色変える女ならいくらでも見てきたでしょう?」
「それが?」
「だったら見れば分かるでしょうが。シェラはあなたに恋をしているの」
「そんなわけはない」
「あなた馬鹿?」
さすがにカチン、とくる物言いである。
言われた内容そのものよりも、エマがまるで何もかも──シェラの気持ちまで理解しているような口をきくのに腹が立つ。
「あれは、俺といることに戸惑っている。その原因は俺にある。だから触れようとすれば逃げるし、時々こちらの顔色を伺うような仕草を見せる。まともに俺の顔を見て喋れないときがあるのも当然だ」
「・・・あなた、シェラに何をしたのよ」
「お前に話すことではない」
「・・・まぁ、別に何でもいいけど。普通、今あなたが言ったようなことって、好きな男の前で緊張している女の子が見せる表情なんじゃないの?」
「他の女だったらそう思っただろうな」
「じゃあどうして?」
ヴァンツァーはきっぱりと言い切った。
「──シェラだからだ」
「・・・・・・」
宇宙語を話す男との会話を、エマは諦めた。
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