小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
暦だけな。なんだこの気温。去年は、『芸術の秋』ということで双子の彼氏たちを小ネタにしていた来がします。ははは。そういや、うちの男どもは真っ当な会社勤めしてるやつがいないのな(笑)リーマンものって、萌えの原点のような気がするんだけどなぁ・・・何かうちの子たちだとそそらない。これが『ローエングラム・カンパニー』になるだけで、一気にテンション上がるんですけどね。おかしーなー。
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忙しいのは、知っている。
目が回るような忙しさは、しかし一応は本業であるはずのデザイナー業とは関係のないところで引き起こされているようだった。
株のことも、事業のことも、シェラにはよく分からない。
勉強はしているのだ。
ヴァンツァーの書斎にある膨大な蔵書を読むことを、制限されてはいない。
けれど、書いてあることがさっぱりだった。
あまり勤勉ではなかったとはいえ、それなりに優秀な学生だった自覚はある。
だが、己が学んできたこととは畑が違い過ぎて何も頭に入っていかない。
「訊けばいいのに」
と、仕事仲間は言う。
性格はともかく、頭脳は抜群に明晰な男に分からないことは訊けばいい、と。
そんなこと、出来るわけがない。
訊くことが嫌なのではない。
自分が訊ねたことで、彼の時間を割くのが嫌なのだ。
ただでさえ時間がないだろうに、余計な手間をかけさせるわけにはいかない。
だから、自分で勉強して、少しでも手伝えることがあれば、と思っているというのに。
「健気だわぁ」
「こんな奥さん欲しいわよねぇ」
職場の女性たちはそう言うが、そういうことでもない。
ただ、怖いだけなのだ。
何の力にもなれない、何の役にも立たない自分が、どうしてここにいるのか分からなくなるから。
服を作ることに関しては、人並み以上の結果を出せる自信がある。
速さでも、正確さでも、機械を使わない手作業には絶対の自信を持っている。
けれど、そういうことでもないのだ。
──コンコン。
深夜。
自宅にある男の部屋のドアをノックした。
短い返事が返ったので、中に入った。
「・・・仕事中、悪い」
「いや。何だ?」
「・・・何か、出来ることがあれば、と・・・思って」
「構わない。先に寝ていろ」
「・・・・・・」
「──あぁ、シェラ」
思い出したように声をかけてくる男に、シェラは俯きかけていた顔をぱっと上げた。
「珈琲、淹れてもらえるか?」
「・・・あぁ、分かった」
明らかに、落胆している。
不思議そうな顔をされたので、笑顔を作った。
「すぐ、淹れてくる」
「頼む」
頷いて、部屋を出る。
──・・・こんなの、頼みごとのうちに入らない。
全然大変じゃない。
誰にでも出来ることだ。
では、自分にしか出来ないことは何だろう?
何をすれば、どうすれば役に立てるのだろう。
これは、『ファロット』としての習性なのかも知れない。
そう、創られたのかも。
仕事を与えられて、それを完璧にこなして、高い評価を得る。
そのプロセスを、自分は今も求めているのだろうか。
人として当たり前の欲求と呼ぶには、渇望し過ぎている気がする。
「・・・役立たず」
キッチンで、ぽつりと呟く。
胸は痛まない。
本当のことで、胸は痛んだりしない。
ただ何だか、──無性に泣きたくなった。
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あー、シェラたん可愛いよ、シェラたん。
ちゃんとフォローはする予定だけどな。
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