小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
ヘタレが書きたいらしい・・・
例の幼馴染設定のやつですね。
例の幼馴染設定のやつですね。
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「シェラ~」
低い、けれどどこか嬉しくて尻尾を振っている犬を連想させるような声で呼ばれ、シェラは振り返った。
もちろん、視線の先には生まれる前から一緒に育ってきた幼馴染。
駆け寄ってくる長身を見上げ、「どうしたの?」と訊ねた。
天使のような美貌と清流のような長い銀髪が目を引くシェラだったが、実はとても口が悪く手が早い。
でもそれはこの幼馴染を護るために身につけたものだったので、本人はむしろ誇らしく思っていた。
「あのね、ジャスミンからメールが来て、今夜みんなでご飯食べよう、って」
「あぁ、分かった」
「今、ジャスミンとママさんでお茶してて。今日はパパさんが早く帰ってこられるから、って決まったらしいよ」
「そうなの? 何だ、私には何も言ってなかったのになぁ・・・」
蛇足ながら、『ジャスミン』はヴァンツァーの母親、『ママさん』や『パパさん』はシェラの両親のことだ。
他人が聞いたら、誰がどちらの親なのかよく分からないに違いない。
「でも、みんなで食べるの久しぶりだから、俺嬉しい」
本当に嬉しいのだろう。
にっこりと微笑む美貌に、若干ヤられ気味で歓声を上げている女子は少なくない。
そんなヴァンツァーをみて「あーもう可愛いなー」と思ったシェラは、よしよし、と自分よりかなり高い場所にある頭を撫でてやった。
高校生にもなってこんなことをされたのでは激怒されても文句は言えないが、ヴァンツァーは大人しく──否、むしろ嬉しそうに撫でられている。
「どこか食べに行くって?」
「うん。ジャスミンとケリーが、どっちが運転するかで揉めてるらしいよ」
くすくすと笑う美少年に、シェラは苦笑した。
「まぁた、あのふたりは・・・うちはどうするのかなぁ・・・?」
「うちの車に乗っていけば?」
「それでもいいんだけど・・・ジャスミンの運転する車にお父さんが乗ってる画(え)って微妙だし、ケリーだと何かマフィアのボスと右腕って感じで・・・」
「あはははは」
とんでもない内容を至極真面目な顔をして口にするシェラに、ヴァンツァーは破顔した。
──と、ヴァンツァーの携帯にメールが来る。
「──あ」
メールを見たヴァンツァーは、くすくす笑って画面をシェラに見せた。
シェラも困ったような笑みを浮かべた。
『バイクで行くことにした。お前はジンジャーたちと車で行くんだ』
はいはい、と呟いて了承の旨を返信する。
「だってさ」
「まったく・・・どっちが運転したっていいと思うんだけどな」
「俺、免許取るのちょっと不安だなぁ・・・」
すごい厳しそう、とため息を零す幼馴染に、シェラは目を丸くした。
「──取るの?」
「え? 取るよ。まぁ、予定だけど」
どうして? と訊ねてくる少年に、複雑な心境のシェラだった。
「いや・・・ヴァンツァーは私の助手席に乗せるんだ、と思ってたから」
「ふたりとも持ってれば、交代で運転出来るんじゃない?」
にこにこ笑っている幼馴染に、シェラは「そうだね」と返した。
けれど、何だかちょっと寂しい気分だ。
『ヴァンツァーを護る』というのが至上命題な彼にとって、免許を取るという行為が何だか自立と巣立ちを予感させるようで・・・。
「俺も男だもん。好きな子を助手席に乗せて運転するの、夢なんだぁ~」
父親譲りの類稀な美貌に満面の笑みを乗せ、公衆の面前で臆面もなくそんなことを口にする幼馴染に、シェラは気恥ずかしさを覚えながらも仕方なさそうに微笑んだ。
──もう、ホント可愛いんだから。
そんな風に思いながらも、ヴァンツァーの言う『好きな子』というのが自分を指しているのだとは、気づかない鈍感なのであった。
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あー、ヘタレてるヴァンツァー書くと癒されるという不幸・・・
「シェラ~」
低い、けれどどこか嬉しくて尻尾を振っている犬を連想させるような声で呼ばれ、シェラは振り返った。
もちろん、視線の先には生まれる前から一緒に育ってきた幼馴染。
駆け寄ってくる長身を見上げ、「どうしたの?」と訊ねた。
天使のような美貌と清流のような長い銀髪が目を引くシェラだったが、実はとても口が悪く手が早い。
でもそれはこの幼馴染を護るために身につけたものだったので、本人はむしろ誇らしく思っていた。
「あのね、ジャスミンからメールが来て、今夜みんなでご飯食べよう、って」
「あぁ、分かった」
「今、ジャスミンとママさんでお茶してて。今日はパパさんが早く帰ってこられるから、って決まったらしいよ」
「そうなの? 何だ、私には何も言ってなかったのになぁ・・・」
蛇足ながら、『ジャスミン』はヴァンツァーの母親、『ママさん』や『パパさん』はシェラの両親のことだ。
他人が聞いたら、誰がどちらの親なのかよく分からないに違いない。
「でも、みんなで食べるの久しぶりだから、俺嬉しい」
本当に嬉しいのだろう。
にっこりと微笑む美貌に、若干ヤられ気味で歓声を上げている女子は少なくない。
そんなヴァンツァーをみて「あーもう可愛いなー」と思ったシェラは、よしよし、と自分よりかなり高い場所にある頭を撫でてやった。
高校生にもなってこんなことをされたのでは激怒されても文句は言えないが、ヴァンツァーは大人しく──否、むしろ嬉しそうに撫でられている。
「どこか食べに行くって?」
「うん。ジャスミンとケリーが、どっちが運転するかで揉めてるらしいよ」
くすくすと笑う美少年に、シェラは苦笑した。
「まぁた、あのふたりは・・・うちはどうするのかなぁ・・・?」
「うちの車に乗っていけば?」
「それでもいいんだけど・・・ジャスミンの運転する車にお父さんが乗ってる画(え)って微妙だし、ケリーだと何かマフィアのボスと右腕って感じで・・・」
「あはははは」
とんでもない内容を至極真面目な顔をして口にするシェラに、ヴァンツァーは破顔した。
──と、ヴァンツァーの携帯にメールが来る。
「──あ」
メールを見たヴァンツァーは、くすくす笑って画面をシェラに見せた。
シェラも困ったような笑みを浮かべた。
『バイクで行くことにした。お前はジンジャーたちと車で行くんだ』
はいはい、と呟いて了承の旨を返信する。
「だってさ」
「まったく・・・どっちが運転したっていいと思うんだけどな」
「俺、免許取るのちょっと不安だなぁ・・・」
すごい厳しそう、とため息を零す幼馴染に、シェラは目を丸くした。
「──取るの?」
「え? 取るよ。まぁ、予定だけど」
どうして? と訊ねてくる少年に、複雑な心境のシェラだった。
「いや・・・ヴァンツァーは私の助手席に乗せるんだ、と思ってたから」
「ふたりとも持ってれば、交代で運転出来るんじゃない?」
にこにこ笑っている幼馴染に、シェラは「そうだね」と返した。
けれど、何だかちょっと寂しい気分だ。
『ヴァンツァーを護る』というのが至上命題な彼にとって、免許を取るという行為が何だか自立と巣立ちを予感させるようで・・・。
「俺も男だもん。好きな子を助手席に乗せて運転するの、夢なんだぁ~」
父親譲りの類稀な美貌に満面の笑みを乗せ、公衆の面前で臆面もなくそんなことを口にする幼馴染に、シェラは気恥ずかしさを覚えながらも仕方なさそうに微笑んだ。
──もう、ホント可愛いんだから。
そんな風に思いながらも、ヴァンツァーの言う『好きな子』というのが自分を指しているのだとは、気づかない鈍感なのであった。
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あー、ヘタレてるヴァンツァー書くと癒されるという不幸・・・
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