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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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このブログ。先月の25日にガクちゃんのLIVEに行ったので、そのセトリを書こうかと思ったら管理ページを開けず。何ならブログページそのものも開けず。システム障害だったようですね。今月入っても復旧せず、かといってSNSの類をやらない橘ですので皆様にお知らせもしづらく、ご心配をお掛けしたことと思います。
ブログ自体が復旧したあとも、管理ページに入れるようになるまでしばらく時間がかかったり、管理ページに入っても記事を書こうとすると『混み合っています』と言われたり。その後は仕事が忙しかったり所用で家にいなかったりで今に至ります。

本当はセトリを書くべきなんですが、もう1ヶ月前のことなので、当日の情熱なんて残ってないわけで(笑)セトリを楽しみに待っている友人もおりますので必ず書きますが、今日は別のことを。

──天使のように愛らしいツンデレな弟を溺愛する凍れる美貌の公爵ヴァンツァー。

これこれ。
残念だから何だってんだ(コラ)ヴァンツァーは残念な生き物なんだ(オイ)




**********

艷やかな黒髪と青玉の瞳で飾られた、傷どころかシミもホクロもない白皙は都中の乙女の憧れ。
均整の取れた長身は帝国の騎士にも劣ることなく鍛えられ、剣の腕はもちろん、風魔法では国に並ぶもののない使い手とされる。
出身者は将来政府高官の道が約束されるという名門校を主席で卒業する頭脳は、己が領地を統べることへ遺憾なく発揮された。
欠点らしい欠点と言えば、その冷たく整った美貌に、ひと欠片の笑みも浮かばないことくらいだろうか。

「兄上、こちらに署名を」
「ならん」
「私がこの領地を出るには、兄上の許可が」
「ならん、と言った」

皇族を含めてさえ国内一の貴公子と呼ばれる男の執務室には、男の補佐をする政務官の他に──天使がいた。
男の纏う色彩とは正反対の、雪のような銀色の髪と湖畔に咲く菫のように鮮やかな紫の瞳の主。
似ているのは抜けるように白い肌の色くらいだろうか。
小柄で華奢なその容姿は、男物の服を身に着けていてさえ、少女のようだった。

「何故でしょうか?」
「そこに記載された場所へ、お前が赴く必要性を感じない」
「北の森に出現するという魔物に、我が領民の安全が脅かされております」
「むろん、承知している」
「千里眼を持つと言われる兄上であれば、それがどれほどの脅威かお感じになっておられないわけではないでしょう」
「言われるまでもない」
「それなれば」
「──シェラ」

シェラ──少女そのものの名は、見るものすべてに『天使』と言わしめる少年の名。

「はい」
「お前の優秀さはよく耳に聞こえてくる」
「ありがとう存じます」
「だが、魔物の討伐は過酷だ」
「承知しております」
「加えて、季節は間もなく冬を迎える。北の森は雪がちらつき始める頃」
「それも」
「屈強な騎士ならばともかく、身体の弱いお前を向かわせる許可は出せない」

髪の毛ひと筋ほども表情を動かさない若き領主に、シェラは細くため息を零した。

「兄上。それは兄上の思い違いでございます。私は健康な男子です。身体の作りは細身ですが、剣も魔法も使えます」
「お前の能力を疑うつもりはない。だが、魔物討伐は人間どうしの戦とも異なる厳しさがある」
「覚悟の上です」
「私が赴けば良いだけのこと」
「兄上にはこのファロット公爵家の広大な領地と領民を守るお役目がございます」
「森への往復を含めたところで二、三日。空けたとて、どうということはない」
「敵はどのように強力な魔物とも知れません」
「知っている」
「・・・はい?」
「出現しているのは、ホワイトドラゴンだ」
「・・・・・・」

さすがに、ふるり、とその痩身を震わせたシェラだった。
空の覇者と呼ばれる竜種の中でも、ホワイトドラゴンは古代種を除けば最大級の脅威。
その硬い皮膚に物理攻撃はほとんど意味をなさず、魔法攻撃は一切無効。
白銀の鱗に覆われた美しい見た目からは想像も出来ない、恐ろしい存在であった。

「お前を侮っているわけではない。だが、お前には倒せない」
「・・・ですが」
「シェラ」

静かに椅子から立ち上がった男は、机の前にいる弟の横へ足音ひとつさせずに近寄った。
軽く、頭ひとつ分以上の身長差。
ぐっと目に力を入れて妍麗な美貌を見上げるシェラの前で、永久凍土に例えられる男の表情が僅かに動いた。

「・・・もしお前を失うことがあれば、俺は生きていけない」
「──あに、うえ・・・?」

さらり、と銀の髪を撫でる大きな手。
剣を握る無骨な手だが、とてもあたたかいことをシェラは知っている。

「お前がこの領地のために行動しようとしていることは、兄として、領主として嬉しく、また誇らしく思っている。だが、俺にはもうお前しかいないのだ」

掌中の珠と言わんばかりに、藍色の瞳に慈愛が宿る。

「だから、自ら危険を冒そうだなどと言わないでくれ」
「ですが! 相手がホワイトドラゴンなれば、危険なのは兄上とて同じではありませんか!」
「どうということはない」
「『真白き死の王』と呼ばれるドラゴンには、いかな兄上の風魔法とて」
「むろん、魔法は使わぬ」
「──え?」
「硬いとはいえ、物理攻撃は通る」
「・・・ドラゴンですよ? Aランク冒険者や精鋭の騎士が束になってかかる相手ですよ?」
「斬れずとも、ダメージを通す方法はいくらでもある」
「・・・」

珍しくにこりと笑みを浮かべた男は、最愛の弟に告げた。

「あぁ、ホワイトドラゴンの鱗で、お前用の防具を作らせようか」

戦場に立たせることはないけれど、きっと美しい、と。
男にとってそれは、確定した未来のイメージだった。


**********

とりあえず寝ます(笑)
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