小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
お休み~~~!!
もう、色々今期中に終わらない気もしてきたけど、頑張らないとな。
ちょこっとヴァンシェラ。シリアスではない。
もう、色々今期中に終わらない気もしてきたけど、頑張らないとな。
ちょこっとヴァンシェラ。シリアスではない。
**********
「──貴様!」
その日シェラは、いつものように激昂していた。
「何度言えば分かるんだ! お前、実は馬鹿なのか?!」
広いリビングに響き渡る声で叫ぶが、背後の──シェラにのしかかるようにして背中を預けてきている男は、素知らぬ顔で手にした本のページを捲っている。
何を読んでいるのか知らないが、聞こえていないなら、更に大きな声を出すまでだ、とシェラは息を吸い込んだ。
「煩い」
「──聞こえてるなら返事くらいしろ!」
「お前は少し声を抑えろ」
「それはお前が──」
背もたれ代わりにされていたシェラが振り返ろうとすると、己の意思よりも速く視界が変わった。
「きゃんきゃん煩いところは、女のようだな」
あまり動かない表情ながら、呆れていることがありありと分かる男の顔を下から見上げ、シェラは怒りに身を震わせた。
引き倒された頭は、ヴァンツァーの脚の上。
──なんだ、この屈辱的な格好は!!
膝枕なんて、冗談じゃない! と憤ったシェラ。
言われた台詞よりも体勢が問題だと思い、くわっ! と大きく口を開こうとした。
「本当に、見た目は美しいのに残念な男だな」
「・・・な・・・?」
言われたことの意味が分からず、目をぱちくりさせる。
「お前は昔から、口を開くと台なしになる」
「・・・・・・」
何を言っているのだろうか、この男は。
困惑の極地にあるシェラの頭は、疑問符でいっぱいになってまともな思考が出来ないでいた。
「詩でも口ずさむのが似合いの唇から罵倒しか出てこないというのは、些か問題だと思うぞ?」
「・・・・・・」
本格的に頭が痛くなってきたシェラだった。
「・・・誰が言わせている」
「そんなに感情を表に出していたのでは、行者として務まらんだろう」
「──貴様!!」
「ほら、それだ」
また大声を出そうとしたシェラの口を、大きな手が軽く塞ぐ。
噛み付いてやろうかと思ったシェラだったが、反対の手が額の少し上辺りをポンポンと、まるで宥めるように撫でてきたものだから、怒りも忘れて目を瞠ってしまった。
「そう毛を逆立てずとも、お前とやり合う気はない」
「・・・・・・」
「この世界では、啀み合う理由もなかろう」
「・・・・・・」
「何を憤ることがある」
「私を背もたれにするな」
ヴァンツァーの手をはがしてきっぱりと言い切り、馬鹿かこいつ、と妙に冷静になったシェラだった。
なぜ憤らないと思うのか、まったくもって理解出来ない。
シェラも鍛えてはいるが、筋骨質な成人の男の全体重を預けられれば『重い』と感じる。
それを、何の断りもなく行って来る男の気が知れない──いや、知りたいとも思わないのだが。
「背もたれにすることが問題なのか?」
「当たり前だ」
「分かった。ならばやめよう」
あまりに素直に頷かれて、少々拍子抜けしたシェラだったが、分かったのならそれでいい、と身を起こした。
「──おい!」
すると、それを見越したかのように、ヴァンツァーの頭が膝の上に乗った。
「お前、ほんと馬鹿なのか?!」
「背もたれにはしていない」
「膝枕もダメに決まっている!」
「なぜ?」
「なぜって・・・」
はた、と考えこんでしまったシェラだった。
先ほどは、体重を掛けられて重かった。
重いから邪魔だった。
けれど、今は頭だけ。
さして重さは感じない。
何がダメなのだろう・・・? と考えそうになって、はっとした。
「そ、その手には乗らない!」
考えたら終わりだ、とばかりに、シェラはヴァンツァーの頭を押しやった。
身を起こした男は、とても不服そうだ。
無表情のくせに不満そうなのが分かるというのもどうかと思うが。
「とにかく、ダメなものはダメ!」
「どこならいいんだ?」
「ど、どこ・・・?」
「背中と膝がダメなら、どこならいいんだ?」
いっそあどけないくらいの様子で首を傾げられ、シェラも一瞬首を捻った。
そして、ぷるぷるっ、と首を振ったのだった。
「ど、どこもダメだ! 立派なソファがあるんだから、そっちでいいじゃないか!」
「今はソファの気分じゃない」
「お前の気分など知るか! 私の意見はどこへ行った!」
「だから、どこならいいんだ、と訊いただろうが」
「・・・それで譲歩したと思うなよ・・・?」
まるで呪詛のような声を出すシェラに、ヴァンツァーは肩をすくめて見せた。
聞き分けのない子どもにするような仕草だった。
──・・・何だろう、このイラッと感。
シェラは久々に、素手で殴るだけでは飽き足りないような気分になってきた。
「お前は、一体なにを考えているんだ」
額に手を当て、深くため息を零したシェラは、次の瞬間ぐいっ、と顎を持ち上げられて瞠目した。
焦点が合わなくなりそうな距離に、深く澄んだ藍色の瞳。
昔のような昏さも、濁りもない、どこか愉しそうな色をした綺麗な目だった。
思わず息を呑んだシェラの唇に、目の前の男の吐息が触れる。
「──お前は・・・何を考えている・・・?」
瞳の奥を覗きこまれる感覚に、シェラは奥歯を噛み締めた。
顎を掴んでいる男にもそれが伝わったのだろうことに、また苛立ちが募る。
「~~~~お前には関係ない!!」
ヴァンツァーの手を振り払ったシェラの顔は、怒りか羞恥か、真っ赤になっている。
そんなシェラの様子を見て、ヴァンツァーは「くっ」、と喉を鳴らして笑った。
「そうか・・・それは残念だな」
ゆったりと形の良い唇に笑みを刻んだ男は、憎らしいくらい美しい顔をしていた。
己の激しい動悸の理由は、この上もないほどの怒りのせいだ、とシェラは自身に言い聞かせた。
**********
デキてるの? デキてないの?
こういう、よく分からん焦れったいのが好きです。
「──貴様!」
その日シェラは、いつものように激昂していた。
「何度言えば分かるんだ! お前、実は馬鹿なのか?!」
広いリビングに響き渡る声で叫ぶが、背後の──シェラにのしかかるようにして背中を預けてきている男は、素知らぬ顔で手にした本のページを捲っている。
何を読んでいるのか知らないが、聞こえていないなら、更に大きな声を出すまでだ、とシェラは息を吸い込んだ。
「煩い」
「──聞こえてるなら返事くらいしろ!」
「お前は少し声を抑えろ」
「それはお前が──」
背もたれ代わりにされていたシェラが振り返ろうとすると、己の意思よりも速く視界が変わった。
「きゃんきゃん煩いところは、女のようだな」
あまり動かない表情ながら、呆れていることがありありと分かる男の顔を下から見上げ、シェラは怒りに身を震わせた。
引き倒された頭は、ヴァンツァーの脚の上。
──なんだ、この屈辱的な格好は!!
膝枕なんて、冗談じゃない! と憤ったシェラ。
言われた台詞よりも体勢が問題だと思い、くわっ! と大きく口を開こうとした。
「本当に、見た目は美しいのに残念な男だな」
「・・・な・・・?」
言われたことの意味が分からず、目をぱちくりさせる。
「お前は昔から、口を開くと台なしになる」
「・・・・・・」
何を言っているのだろうか、この男は。
困惑の極地にあるシェラの頭は、疑問符でいっぱいになってまともな思考が出来ないでいた。
「詩でも口ずさむのが似合いの唇から罵倒しか出てこないというのは、些か問題だと思うぞ?」
「・・・・・・」
本格的に頭が痛くなってきたシェラだった。
「・・・誰が言わせている」
「そんなに感情を表に出していたのでは、行者として務まらんだろう」
「──貴様!!」
「ほら、それだ」
また大声を出そうとしたシェラの口を、大きな手が軽く塞ぐ。
噛み付いてやろうかと思ったシェラだったが、反対の手が額の少し上辺りをポンポンと、まるで宥めるように撫でてきたものだから、怒りも忘れて目を瞠ってしまった。
「そう毛を逆立てずとも、お前とやり合う気はない」
「・・・・・・」
「この世界では、啀み合う理由もなかろう」
「・・・・・・」
「何を憤ることがある」
「私を背もたれにするな」
ヴァンツァーの手をはがしてきっぱりと言い切り、馬鹿かこいつ、と妙に冷静になったシェラだった。
なぜ憤らないと思うのか、まったくもって理解出来ない。
シェラも鍛えてはいるが、筋骨質な成人の男の全体重を預けられれば『重い』と感じる。
それを、何の断りもなく行って来る男の気が知れない──いや、知りたいとも思わないのだが。
「背もたれにすることが問題なのか?」
「当たり前だ」
「分かった。ならばやめよう」
あまりに素直に頷かれて、少々拍子抜けしたシェラだったが、分かったのならそれでいい、と身を起こした。
「──おい!」
すると、それを見越したかのように、ヴァンツァーの頭が膝の上に乗った。
「お前、ほんと馬鹿なのか?!」
「背もたれにはしていない」
「膝枕もダメに決まっている!」
「なぜ?」
「なぜって・・・」
はた、と考えこんでしまったシェラだった。
先ほどは、体重を掛けられて重かった。
重いから邪魔だった。
けれど、今は頭だけ。
さして重さは感じない。
何がダメなのだろう・・・? と考えそうになって、はっとした。
「そ、その手には乗らない!」
考えたら終わりだ、とばかりに、シェラはヴァンツァーの頭を押しやった。
身を起こした男は、とても不服そうだ。
無表情のくせに不満そうなのが分かるというのもどうかと思うが。
「とにかく、ダメなものはダメ!」
「どこならいいんだ?」
「ど、どこ・・・?」
「背中と膝がダメなら、どこならいいんだ?」
いっそあどけないくらいの様子で首を傾げられ、シェラも一瞬首を捻った。
そして、ぷるぷるっ、と首を振ったのだった。
「ど、どこもダメだ! 立派なソファがあるんだから、そっちでいいじゃないか!」
「今はソファの気分じゃない」
「お前の気分など知るか! 私の意見はどこへ行った!」
「だから、どこならいいんだ、と訊いただろうが」
「・・・それで譲歩したと思うなよ・・・?」
まるで呪詛のような声を出すシェラに、ヴァンツァーは肩をすくめて見せた。
聞き分けのない子どもにするような仕草だった。
──・・・何だろう、このイラッと感。
シェラは久々に、素手で殴るだけでは飽き足りないような気分になってきた。
「お前は、一体なにを考えているんだ」
額に手を当て、深くため息を零したシェラは、次の瞬間ぐいっ、と顎を持ち上げられて瞠目した。
焦点が合わなくなりそうな距離に、深く澄んだ藍色の瞳。
昔のような昏さも、濁りもない、どこか愉しそうな色をした綺麗な目だった。
思わず息を呑んだシェラの唇に、目の前の男の吐息が触れる。
「──お前は・・・何を考えている・・・?」
瞳の奥を覗きこまれる感覚に、シェラは奥歯を噛み締めた。
顎を掴んでいる男にもそれが伝わったのだろうことに、また苛立ちが募る。
「~~~~お前には関係ない!!」
ヴァンツァーの手を振り払ったシェラの顔は、怒りか羞恥か、真っ赤になっている。
そんなシェラの様子を見て、ヴァンツァーは「くっ」、と喉を鳴らして笑った。
「そうか・・・それは残念だな」
ゆったりと形の良い唇に笑みを刻んだ男は、憎らしいくらい美しい顔をしていた。
己の激しい動悸の理由は、この上もないほどの怒りのせいだ、とシェラは自身に言い聞かせた。
**********
デキてるの? デキてないの?
こういう、よく分からん焦れったいのが好きです。
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