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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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頑張れば、明日は待ちに待ったねずみーランド! ちょー楽しみ~~~><

さて。これだけ間があいてしまってなんですが。ヴァンツァーさんの誕生日祝いの続き的なものをば。

**********

ヴァンツァーが着替える小1時間の間、キニアンはじっとおとなしく待っていた。
ドキドキというよりはワクワクの方が強く、あれだけ綺麗な人が、どんな美しい女性に変身するのだろう? と楽しみにしていた。
可愛らしい恋人のことはもちろん誰よりも愛しているが、音楽に限らず、美しいものを愛でるのは大好きな青年なので、今日もエスコート役を仰せつかったことを誇らしく思っていた。
やがて、キニアンの待つリビングのドアが開く音がした。
決して大きな音ではないが、彼の耳に入らない音はない。

「──あ、終わりまし・・・・・・」

ソファから立ち上がった青年は、手にしていた花束を思わず取り落としてしまった。
緑色の目は、瞬きもせずに一点を凝視している。
瞼の動きはおろか、彼は今呼吸すらも止めていた。
後に、『音が消える』という彼にとっては最大級の異常事態とも思えるこのときの状況を思い起こし、何度も身震いしたという。

「あ・・・?」

口を開くことすらもままならない青年は、意識せずに一歩後ずさった。
部屋の入口には、この世のものとも思えないほどの『美女』がいる。
身長は高いのに、バランスが良いからか決して大柄には見えない。
本来筋骨質であるその身体つきも、どこかほっそりとして見えるから不思議だ。
これが衣服の効果というものか、と納得するだけの理性は、今のキニアンにはなかった。
どこか儚げで清楚な美貌の主が、キニアンの瞳をひた、と見つめ──やがてゆったりと微笑みを浮かべた。
桜の花だと思ったものが、大輪の牡丹だった──そんな錯覚すら覚える艶やかな笑み。
並の男であれば飛びかかっていったかもしれない妖艶な美女の微笑みに、しかしキニアンはやはり身を引いたのだった。

「──そう怯えるな」

聞こえてきたのはいつものヴァンツァーの声で、はっとしたキニアンはようやく肩の力を抜いた。

「あ・・・ヴァンツァー・・・?」
「他の誰だというんだ?」
「・・・・・・」

いや、分かりませんから! と言いたかったキニアンだったが、浮かべられた品の良い笑みに、思わず感嘆のため息を零した。

「ふわぁ・・・なんていうか・・・ごめんなさい、綺麗です・・・」
「なぜ謝る?」
「いや、それしか出てこない自分の語彙の貧困さが情けなくて・・・」

そう告げれば、ヴァンツァーはまたくすくすと笑った。
こうすると、妖艶さが目減りして、可愛らしさとか、上品さが表に出てくる。

「・・・俺、そういうヴァンツァーの方が好きです」
「・・・女装した俺か?」
「え? いやいやいや!」

慌てて否定したキニアンだった。

「そうじゃなくて・・・あんまり綺麗で心臓が止まりそうになる微笑みを浮かべるヴァンツァーより、そうやって自然に笑っているヴァンツァーの方が、何だか落ち着きます」

いや、どちらにせよ美しすぎて落ち着かないのだが、と困った顔になる青年に、ヴァンツァーは紅をはいた唇を綻ばせた。
またもやぽーっと見惚れそうになり、ふるふると頭を振るキニアン。

「それ・・・キモノ・・・ですよね?」
「よく知っているな」
「カノンが着てる写真、見たことがあります」
「そうか」
「ヴァンツァーって、黒い服着てるイメージが強いですけど、白系とか、淡い色も似合うんですね」

今ヴァンツァーが着ているのは、この季節によく合った桜の花びらを描いたもの。
裾が濃い目の色味で、上半身に向けてだんだんと薄くなっていく。
儚げな印象を与える着物と、白い肌に鬘なのか結い上げられた黒髪のコントラストがとても美しい。

「『思わず惚れる』くらいになったか?」
「・・・惚れはしませんけど、見惚れました」

苦笑して正直に白状する青年に、ヴァンツァーは愉しそうに笑ったのだった。


**********

ということで、お着物系美女でした。
清楚なヴァンツァーって珍しいでしょ?(笑)
浮かべる表情と見る人の心の邪さ加減では花魁並の妖艶さになってしまうので、さじ加減注意です(笑)

さ。今日も頑張るぞー。
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