小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
降っているので、とても落ち込みます(コラ)
こんなときは、無理に仕事をしてはいけません(←働け)
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「そなた、なぜ水野や土方の密偵に?」
表情なく訊ねる狂四郎に、美保代は莞爾と微笑んだ。
「狂四郎様と同じ・・・」
「なに?」
「わたくしにも、異人の血が混じっております」
これには目を瞠った狂四郎である。
そうして、美保代の瞳をひた、と見つめる。
「・・・見ようによっては、菫色に見える」
「瞳だけではありませぬ。今は黒く染めておりますが、この髪も」
「髪?」
「はい・・・この髪、生来は刃と同じ白銀でございます」
軽く目を伏せるようにして語られる内容に、狂四郎はひと言返した。
「見たい」
「──はい・・・?」
「そなたの髪。染めていない色を、見たい」
「・・・・・・」
なぜ、と問うことは出来る。
けれど、美保代はほんの少し間を取ってから頷いた。
この身を隠密と見破った狂四郎に対し、断る理由もない。
「・・・湯を、いただいてもよろしいでしょうか」
「必要とあらば」
「では、今宵・・・」
頷く狂四郎。
そうしてその晩、湯から上がり、生来の髪の色を取り戻した美保代に、狂四郎は告げた。
「美しいな」
「・・・狂四郎様・・・?」
男の美貌には何の感慨も浮かんではいないように見えるというのに、その唇は賞賛を口にした。
「刃ではない。そなたの髪は、雪の色だ」
「・・・・・・」
「静かに降り積もり、まだ人が踏み入ってはいない、真白き雪」
「・・・そのように仰っていただいたのは、初めてです」
美保代は僅かに頬を染めた。
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ん~、もっと書きたい。
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