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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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『勝てば官軍』とはよく言ったもので、五輪金メダルのライサチェック、橘はちょっと苦手です。努力家なのは分かるんだけどね。

プルシェンコが、「男子シングルの優勝者が4回転の跳び方を知らないなら、アイスダンスに名前を変えろ」って批判してるんですが、まぁ、何度も世界王者になり、五輪で金も取っている彼だから言える台詞です。ヤグディン以外に負ける気がしねぇ(笑)

そんなプルシェンコの台詞に、ライサチェックはこう言いました。

「ジャンプなんて、10秒で終わるじゃないか」

他の要素も大事だよ、という意味なのですが、その10秒のために選手生命かけて挑んでいる全てのアスリートに対する挑戦状ですね。アメリカンのポジティブなところは羨ましいと思うのですが、橘も、男子は4回転を跳んでこそ、挑んでこそ、だと思っています。
3回転だったら小学生でも跳べるんですよ。3回転-3回転のコンボなんて、女子でも跳ぶ。男子で、世界一と呼ばれるほどの選手なら、4回転を跳び、なおかつ演技全体のレヴェルを上げなくてはいけない。
いや、ライサチェックがちょー音感良くて、鬼のようなステップを踏みつつ、深いシットスピンと高速アップライトスピンで魅了してくれるなら、4回転なくてもいいかも知れない。でもさ・・・・・・あぁ、残念すぎる・・・・・・。

ジャンプを跳ばずに客を満足させられる男子スケーター・・・橘の知る限りでは、ヤグディンでしょー、キャンデロロ様でしょー、ウィアー君でしょー、デー輔でしょー、ランビエール様もかなー。生粋のエンターテイナーか、抜群のスケーティング技術を持っているか、神か(笑)そのどれかなんですよ。

そんなわけで、仕事始まりそうだけど、小ネタ。


**********

──なぜ跳ぶのか。

試合後、そうインタビューされることが度々ある。
3アクセルが上手く決まらない。
得点が伸びない──つまりは、勝てない。
それなのに、なぜ3アクセルにこだわるのか、と。
天使のような美貌に、男子アスリート並みの身体能力と根性を誇る少女は言った。

「挑戦をやめることに、何も意味はないと思うので」

跳ばずに綺麗に纏めることは出来る。
きっと、今よりずっと得点は伸びるだろう。
けれど、得点を伸ばしたくて滑っているわけではない。
これは競技だ、だから、勝たなければならない。
けれど、同時にフィギュアスケートは芸術だ。
ただ得点を競うだけのスポーツではない。
演じているスケーターと、見ている観客と、すべてが楽しみ、感動しなければ意味がない。

「私はまだ17です。いくらでも挑戦出来るのに、自分から歩みを止めてしまうことはないでしょう?」
「なかなか得点が伸びていきませんが、そのことに関しては・・・」
「シーズンは始まったばかりです。私はプログラムを自分のものにするのが遅いので、これから良くなっていくと思います」
「ファイナルや世界選手権では3アクセルを決める、と?」
「そうなるように、毎日練習しています」

よどみなく答える少女のその瞳の強さに、レポーターのほうがたじたじだ。

「・・・頑張って下さい」
「ありがとうございます」

控え室に帰った少女を、コーチが迎える。
シェラは思い切り顔を顰めた。

「・・・何ニヤニヤしてるのよ」
「別に」
「キモい」
「お前のことを天使だ妖精だと言うヤツらに、その口の悪さを聞かせてやりたいな」
「可愛いだけの女の子じゃないんだから」
「自分で言うなよ」

呆れのため息を零した青年は、軽く今日の反省点を話した。
3アクセルは転倒したわけではない。
ほんの僅かな回転不足。
選手によっては認定されるだろう程度の回転不足が、執拗なまでにつつかれている。
だが、シェラもヴァンツァーも回転不足のジャンプが認定されることなど望んでいない。
回り切ればいいだけのこと。

「あとは勢いだけだ」
「スピードが足りない?」
「違う。速さではなく、ようは気持ちの問題だ」
「・・・・・・」
「進入角度や軸に問題はない。あとは『確実に決める』という意思が、結果を左右する」
「・・・気持ちで負けてる、ってこと?」
「まぁ、そういうことだな」

この言葉に、柳眉が顰められる。
その表情を見て、コーチである青年は内心笑みを零した。

──また、強くなる。

「ヴァンツァー」
「何だ」
「──3アクセル、百発百中にする」
「最初からそのつもりだろう?」

当然のような顔をしているコーチに、シェラは菫色の瞳を瞠った。
そうして、力強く頷いたのだった。


**********

首が痛くなるほど上を見上げて、そうして人は空の青さを知るのです。
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