小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
早いですねぇ・・・もう少しで今年も半分が終わろうとしています。9月末には引っ越さなければならないというのに、ノープラン(笑)とりあえず、笑って過ごそうかと思います。
**********
どこのホスト集団だ、というメンズグループが着せ替えごっこで遊んでいる間、3人の天使たちはカフェで優雅なティータイムを過ごしていた。
そこだけバックに薔薇園が見えるような華やかな美貌の主たちに、女性たちは羨望と嫉妬を、男性たちは興奮とちょっぴりの欲望を含んだ視線を送っている。
本人たちは慣れたもので、それぞれが注文したケーキやパフェをひと口ずつ味見しては、花が綻ぶような笑みを浮かべていた。
「パパ、どんな服選ぶんだろう? ね、カノン?」
「・・・別に、何でもいいよ」
ちょっと前までにこにこ笑っていたというのに、途端に馬鹿馬鹿しい、といった顔つきになる少年。
「どんな格好してても、アー君かっこいいもんね」
「シェラ。じゃあシェラは、父さんのことかっこいいと思ってるの?」
「うん」
「──へ?!」
これには思わず素っ頓狂な声を上げてしまったカノンである。
ぐさり、とフォークの刺さったミルフィーユのパイが粉々になってしまった。
シェラは、念を押すように「思ってるよ」と言った。
「仕事してるときと、父親の顔してるときは、素直にかっこいいと思うよ。尊敬してる」
仄かな笑みを浮かべたその美貌は、いつもの少女めいたものではなく、しっかりと男の顔をしていた。
「──ま、どうしようもなく馬鹿だなぁ、と思うことの方が多いけどね」
苦笑して紅茶のカップを傾けたシェラは、何だか難しい顔をしている息子に訊ねてみた。
「カノンはどうして、アー君と付き合ってるの?」
「え・・・?」
「美形だから? やさしいから? 我が儘聞いてくれるから?」
「・・・・・・」
「たぶん、みんな正解で、みんな違うよね?」
「・・・・・・」
「何で好きなのかな~、って改めて考えてみるとよく分からないんだけど、でも、たとえば彼が他の女の子にやさしくしてたり、笑いかけてたりしたら、胸がぎゅーってなるんじゃない?」
「・・・分かんないよ、そんなの」
むぅ、と唇を尖らせたカノンに、シェラはくすっと微笑を向けた。
「そうだね。アー君は、カノンのことが大好きで、カノンのことしか見ていないからね」
「・・・それだって、分かんないよ」
もしかしたら、あんまり我が儘だから煩わしくなってしまうかも知れない。
今はやさしいけれど、そのうち冷たくなってしまうかも知れない。
──男どうしであることが、嫌になってしまうかも知れない。
「・・・・・・」
シェラの言う通り、ぎゅっと、胸が鷲掴みにされた気になった。
それは、いつなのだろうか、と。
明日かも知れないし、来年かも知れない。
3年後かも知れないし、もっとずっと先のことかも知れない。
何の保証もないのだということが、急に恐ろしくなった。
「──カノン」
声とともに髪をくしゃり、と撫でられて、ちらっと見つめたシェラが「ごめんね」と眉を下げた。
「不安にさせるようなこと、言っちゃったかな?」
「・・・別に・・・」
「でもね、カノンは彼が傍にいないことを想像しただけで不安になるくらいには、彼のことを好きなんだと思うよ」
「・・・・・・」
「・・・私は、すごく怖い」
はっとして目を瞠る。
微笑んでいるけれど、どこか寂しそうで、哀しそうで、カノンはまた胸がぎゅっとなった。
「最悪だよね、あいつ。ほんと自分勝手で、我が儘で、人のこと振り回してばっかりで」
「シェラ・・・」
「そのくせ、『全部俺が悪いんだよ』って顔して、抱きしめてきたりしてさ」
「・・・・・・」
「ずるいよね」
苦笑するシェラに、カノンは訊いてみた。
「こんなこと訊いて、ごめんね。もし・・・もし、父さんが選んだのがシェラじゃなかったら・・・シェラ、哀しかった・・・?」
「ううん、全然」
きっぱりと言い切ったシェラに、カノンとソナタは顔を見合わせた。
「──だって、そんなの分からなかったから」
過去を思い出すように軽く視線を落としたシェラは、「でも」と呟いた。
「今、あいつがいなくなったら、と思うと・・・うん。哀しくはないけど、苦しい、かな」
愛しさと苦しさは、どこか似ている。
心が震えて、泣きたくなる感覚。
幸福なのに──否、幸福だからこそ感じる不安。
それは、常に表裏の関係なのかも知れない。
「こういうこと考えると、『あぁ、やっぱり、もしかすると、ひょっとして好きなのかなぁ』って思ったりする」
へへっ、と頬を掻く様子が可愛くて、切なくて。
「カノンに『かっこいい』、『好き』って言ってもらったら、アー君喜ぶと思うよ」
「・・・だって、アリスぼくのこと『可愛い』って言わないもん」
「照れ屋さんだから」
「ヘタレわんこだし」
「カノンの前でだけね」
「・・・空気読めないんだよ・・・?」
「KYっていうか、わたしキニアンってびっくりするくらい鈍感なんだと思うわ」
ソナタがため息を吐く。
アイス珈琲の入ったグラスをストローでくるくるとかき混ぜ、氷が涼しげな音を立てる。
「たぶん、靴箱にラヴレターとか入ってても、悪戯かドッキリだって思う類の男の子だと思うよ。だからカノンの目がハートになってても、気づかないんだと思うなぁ」
「・・・なってないよ」
「なってる、なってる。だって、キニアンの隣にいるカノン、すぅごく可愛いもん」
ねー、と声を揃える同じ顔をした親子に、カノンはぷくっと頬を膨らませた。
「──意地でも『かっこいい』なんて言ってやらない」
別行動のメンズたちが戻ってくるまで、あと1時間。
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・・・ホント、どんな長い話書く気だよ、自分・・・。
どこのホスト集団だ、というメンズグループが着せ替えごっこで遊んでいる間、3人の天使たちはカフェで優雅なティータイムを過ごしていた。
そこだけバックに薔薇園が見えるような華やかな美貌の主たちに、女性たちは羨望と嫉妬を、男性たちは興奮とちょっぴりの欲望を含んだ視線を送っている。
本人たちは慣れたもので、それぞれが注文したケーキやパフェをひと口ずつ味見しては、花が綻ぶような笑みを浮かべていた。
「パパ、どんな服選ぶんだろう? ね、カノン?」
「・・・別に、何でもいいよ」
ちょっと前までにこにこ笑っていたというのに、途端に馬鹿馬鹿しい、といった顔つきになる少年。
「どんな格好してても、アー君かっこいいもんね」
「シェラ。じゃあシェラは、父さんのことかっこいいと思ってるの?」
「うん」
「──へ?!」
これには思わず素っ頓狂な声を上げてしまったカノンである。
ぐさり、とフォークの刺さったミルフィーユのパイが粉々になってしまった。
シェラは、念を押すように「思ってるよ」と言った。
「仕事してるときと、父親の顔してるときは、素直にかっこいいと思うよ。尊敬してる」
仄かな笑みを浮かべたその美貌は、いつもの少女めいたものではなく、しっかりと男の顔をしていた。
「──ま、どうしようもなく馬鹿だなぁ、と思うことの方が多いけどね」
苦笑して紅茶のカップを傾けたシェラは、何だか難しい顔をしている息子に訊ねてみた。
「カノンはどうして、アー君と付き合ってるの?」
「え・・・?」
「美形だから? やさしいから? 我が儘聞いてくれるから?」
「・・・・・・」
「たぶん、みんな正解で、みんな違うよね?」
「・・・・・・」
「何で好きなのかな~、って改めて考えてみるとよく分からないんだけど、でも、たとえば彼が他の女の子にやさしくしてたり、笑いかけてたりしたら、胸がぎゅーってなるんじゃない?」
「・・・分かんないよ、そんなの」
むぅ、と唇を尖らせたカノンに、シェラはくすっと微笑を向けた。
「そうだね。アー君は、カノンのことが大好きで、カノンのことしか見ていないからね」
「・・・それだって、分かんないよ」
もしかしたら、あんまり我が儘だから煩わしくなってしまうかも知れない。
今はやさしいけれど、そのうち冷たくなってしまうかも知れない。
──男どうしであることが、嫌になってしまうかも知れない。
「・・・・・・」
シェラの言う通り、ぎゅっと、胸が鷲掴みにされた気になった。
それは、いつなのだろうか、と。
明日かも知れないし、来年かも知れない。
3年後かも知れないし、もっとずっと先のことかも知れない。
何の保証もないのだということが、急に恐ろしくなった。
「──カノン」
声とともに髪をくしゃり、と撫でられて、ちらっと見つめたシェラが「ごめんね」と眉を下げた。
「不安にさせるようなこと、言っちゃったかな?」
「・・・別に・・・」
「でもね、カノンは彼が傍にいないことを想像しただけで不安になるくらいには、彼のことを好きなんだと思うよ」
「・・・・・・」
「・・・私は、すごく怖い」
はっとして目を瞠る。
微笑んでいるけれど、どこか寂しそうで、哀しそうで、カノンはまた胸がぎゅっとなった。
「最悪だよね、あいつ。ほんと自分勝手で、我が儘で、人のこと振り回してばっかりで」
「シェラ・・・」
「そのくせ、『全部俺が悪いんだよ』って顔して、抱きしめてきたりしてさ」
「・・・・・・」
「ずるいよね」
苦笑するシェラに、カノンは訊いてみた。
「こんなこと訊いて、ごめんね。もし・・・もし、父さんが選んだのがシェラじゃなかったら・・・シェラ、哀しかった・・・?」
「ううん、全然」
きっぱりと言い切ったシェラに、カノンとソナタは顔を見合わせた。
「──だって、そんなの分からなかったから」
過去を思い出すように軽く視線を落としたシェラは、「でも」と呟いた。
「今、あいつがいなくなったら、と思うと・・・うん。哀しくはないけど、苦しい、かな」
愛しさと苦しさは、どこか似ている。
心が震えて、泣きたくなる感覚。
幸福なのに──否、幸福だからこそ感じる不安。
それは、常に表裏の関係なのかも知れない。
「こういうこと考えると、『あぁ、やっぱり、もしかすると、ひょっとして好きなのかなぁ』って思ったりする」
へへっ、と頬を掻く様子が可愛くて、切なくて。
「カノンに『かっこいい』、『好き』って言ってもらったら、アー君喜ぶと思うよ」
「・・・だって、アリスぼくのこと『可愛い』って言わないもん」
「照れ屋さんだから」
「ヘタレわんこだし」
「カノンの前でだけね」
「・・・空気読めないんだよ・・・?」
「KYっていうか、わたしキニアンってびっくりするくらい鈍感なんだと思うわ」
ソナタがため息を吐く。
アイス珈琲の入ったグラスをストローでくるくるとかき混ぜ、氷が涼しげな音を立てる。
「たぶん、靴箱にラヴレターとか入ってても、悪戯かドッキリだって思う類の男の子だと思うよ。だからカノンの目がハートになってても、気づかないんだと思うなぁ」
「・・・なってないよ」
「なってる、なってる。だって、キニアンの隣にいるカノン、すぅごく可愛いもん」
ねー、と声を揃える同じ顔をした親子に、カノンはぷくっと頬を膨らませた。
「──意地でも『かっこいい』なんて言ってやらない」
別行動のメンズたちが戻ってくるまで、あと1時間。
**********
・・・ホント、どんな長い話書く気だよ、自分・・・。
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