小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
昨日自転車を買いました。もらったものなんですが、もう8年くらい乗ってたんじゃないでしょうか。タイヤがツルッツルで、パンクも頻繁に繰り返すようになったので新調しました。でも、自転車って結構高いんですよね。特にギア付きだと。2万くらいするのね。そんなお金はないので、どうしようかと思ったのですが、ふと思い立って大型スーパーへ。意外と自転車屋さんより安いんじゃないかと思ったら、ありました。目玉商品。6段ギア付き26インチで10800円。これだっ! と即行でお買い上げ。ちゃんと防犯登録もしました。乗れりゃいいんだよ、乗れりゃ。デザインなんざどうでも。
でも、白い自転車でさわやかさんです。前の自転車が27インチだったのでちょっとタイヤちいさいのですが、乗れりゃいいんだよ、乗れりゃ。ギアついてるし。最近の自転車って、ライトを手元で点灯させられるんですね。スイッチがあるの。びっくりしました。
今までの自転車さん、長い間ありがとう。ボロボロになっても、こんな重たいのを乗せてくれてありがとうね。大してメンテもしてあげられなくてごめんよ。車のない私にとって、君は確かに相棒だったよ。本当に、ありがとう。
ちょうど春ですし、新しい気持ちでガシガシ自転車漕ごうと思います。
でも、白い自転車でさわやかさんです。前の自転車が27インチだったのでちょっとタイヤちいさいのですが、乗れりゃいいんだよ、乗れりゃ。ギアついてるし。最近の自転車って、ライトを手元で点灯させられるんですね。スイッチがあるの。びっくりしました。
今までの自転車さん、長い間ありがとう。ボロボロになっても、こんな重たいのを乗せてくれてありがとうね。大してメンテもしてあげられなくてごめんよ。車のない私にとって、君は確かに相棒だったよ。本当に、ありがとう。
ちょうど春ですし、新しい気持ちでガシガシ自転車漕ごうと思います。
**********
「ダメ」
「何で」
「何でも」
「いーじゃん」
「ダメ。暗いし、危ないでしょうが」
「危なくないもん。ここ連邦大学惑星だよ?」
治安の良さは折り紙付きだ、と眉を吊り上げるカノンに、キニアンはダメの一点張り。
「まーた喧嘩してるの?」
ひょっこりやってきたソナタに、カノンはぷくっと頬を膨らませて見せた。
「だって、放課後の練習見ちゃダメって言うんだもん」
「練習? あぁ、合唱部?」
「夜遅くなると暗くて危ないから、とか訳分かんないこと言うし」
「ぷっ。連邦大学惑星で? しかもカノンが?」
自慢ではないが、護身術や体術の類は両親からみっちり手ほどきを受けている。
そうそう危険な目に遭うはずがない。
「でしょ? 言ってやってよ」
「何があるか分からないだろう」
「じゃあ父さんに迎えに来てもらう!」
伝家の宝刀を抜くカノンに、「・・・またそれか」と呟くキニアン。
何かというと父さん、父さん、そんなに父さんがいいなら早く家に帰ればいいだろうが。
そうは思っても、まるでやきもちを妬いているようでかっこ悪いので口を噤んでいた。
「エアカーならすぐだもん」
「お前、この間もそれやっただろうが」
「いーじゃん。父さん嫌がってないもん」
「嫌がってるとか嫌がってないとか、そういうことじゃないだろう?」
「何なの? アリスのくせに、何でそんな我が儘なの?」
「・・・お前に言われたくないよ」
「ぼく我が儘言ってないもん!」
放課後の教室。
まだまだ生徒たちはたくさん残っている。
そんな中で、天使か王子か、という容姿のカノンが愛想の悪い男子生徒に喰って掛かっている。
よく見る光景ではあるが、しかし、たとえ目の前で展開されている出来事なのだとしても、いつもにこやかに微笑んでいるカノンが柳眉を吊り上げているところがどうもしっくりこないのだ。
影武者なのではないか、と疑うものすらいる。
こんな美貌がそうそう転がっているわけもないのでやはり本人なのだろうが、そうするとどうしてもしっくりいかないのだ。
「とにかく、帰れ。本番見に来るんだろう? じゃあそれでいいじゃないか」
「・・・・・・」
「パート練習したり、2、3回通して歌ったり、そんなんだと思うぞ」
「・・・・・・」
「ピアノだったら、また弾いてやるから」
だから聞き分けろ、と暗に告げてくる彼氏に、カノンはみるみるうちにその菫色の瞳にぷっくりと涙を溜めた。
ぎょっとしたキニアンは、慌てた様子で「ちょ、おま」とか「なん、えぇ?!」とか言っている。
そんなキニアンを涙目で睨みつけたカノンは、
「──みんなと練習頑張れば!」
と叫んで教室を出て行った。
呆然とその様子を見送ったキニアンに、「ないわぁ」と呟く少女がひとり。
「・・・何だよ」
「うちの大事なお兄ちゃん、泣かせないでくれる?」
「・・・・・・」
俺のせいかよ、と思いはしたが、きっと自分のせいなのだろうな、とため息を零した。
「・・・なんなんだよ、あいつ。昼間から怒ったり、泣いたり」
「あー、じゃあそれが分かるまで出禁ね」
「はぁ?」
「カノンが恥ずかしがったり嬉しかったりして泣いてるなら何も言わないけど、あれ本泣きだから」
「・・・・・・」
「死ぬほど反省してね」
「・・・だから、何が悪いんだよ」
「それを考えろって言ってるの」
いつだって太陽みたいな笑みを浮かべている花丸元気印の美少女が、嘘のように冷たい瞳をしている。
カノンを追いかけるため教室のドアを開けながら、ソナタは振り返って言ってやった。
「どうしても分からなかったら、ライアンに訊いてもいいわよ」
それだけ告げて、カノンを追ったのである。
*****
小走りにカノンに駆け寄ったソナタは、何も言わずにきゅっとカノンの手を握った。
キニアンに対する態度が嘘のように、シェラ譲りの美貌には心配そうな色が浮かんでいる。
「・・・目、擦ったでしょ」
赤くなってるよ、とハンカチを差し出す。
ありがと、とちいさく呟いて受け取ったカノンは、ソナタの手をぎゅっと握り返した。
自分のものより、更にほっそりとした手。
硬くて、節の高い男の手とは全然ちがうやわらかな手だ。
「──ごめんね」
ふと、ソナタは言った。
顔を上げたカノンは、ほんの少し下にある藍色の瞳をじっと見つめた。
苦笑したソナタは、もう一度「ごめん」と言った。
「私が、ちょっと面白いかな、と思ってキニアンに伴奏勧めたのがいけなかったね」
「そんなこと・・・」
「カノンと一緒にいるときのキニアンがあんまりヘタレてるから、彼が割りとイケメンなんだってこと、すっかり忘れてたわ」
「・・・・・・」
「しかも、楽器弾かせれば3割り増しだし」
「・・・・・・」
「女の子たちにきゃーきゃー言われてるキニアン見て、ちょっと嫌だったんでしょ」
「・・・・・・別に、ぼく・・・・・・」
「邪魔しちゃうと思って、『ぼくのだよ!』って、言えなかったんだよね」
「・・・・・・」
黙ってしまったカノンの頭を、空いた手で撫でてやる。
「大丈夫だと思うよ?」
「・・・でも、女の子ばっかりだもん」
「カノンが一番可愛いよ」
「・・・・・・我が儘だと思われた」
「やきもちだったのにね」
「違うもんっ」
ぷくっと頬を膨らませるカノンに、ソナタはくすくす笑った。
「でも、やっぱり大丈夫だと思うよ?」
「アリス、超鈍感なうっかりだもん。押し倒されたって、気づかないもん」
「いやいや。たぶん、合唱部の子たちはそれどころじゃないと思うんだよね~」
何か含むものがあるような言い方をするソナタに、カノンはこてん、と首を傾げた。
そんな兄に、ソナタはにんまりと笑って教えてやったのだった。
**********
きっと続く。
・・・何でこんな長い話になったんだ、これ。
「ダメ」
「何で」
「何でも」
「いーじゃん」
「ダメ。暗いし、危ないでしょうが」
「危なくないもん。ここ連邦大学惑星だよ?」
治安の良さは折り紙付きだ、と眉を吊り上げるカノンに、キニアンはダメの一点張り。
「まーた喧嘩してるの?」
ひょっこりやってきたソナタに、カノンはぷくっと頬を膨らませて見せた。
「だって、放課後の練習見ちゃダメって言うんだもん」
「練習? あぁ、合唱部?」
「夜遅くなると暗くて危ないから、とか訳分かんないこと言うし」
「ぷっ。連邦大学惑星で? しかもカノンが?」
自慢ではないが、護身術や体術の類は両親からみっちり手ほどきを受けている。
そうそう危険な目に遭うはずがない。
「でしょ? 言ってやってよ」
「何があるか分からないだろう」
「じゃあ父さんに迎えに来てもらう!」
伝家の宝刀を抜くカノンに、「・・・またそれか」と呟くキニアン。
何かというと父さん、父さん、そんなに父さんがいいなら早く家に帰ればいいだろうが。
そうは思っても、まるでやきもちを妬いているようでかっこ悪いので口を噤んでいた。
「エアカーならすぐだもん」
「お前、この間もそれやっただろうが」
「いーじゃん。父さん嫌がってないもん」
「嫌がってるとか嫌がってないとか、そういうことじゃないだろう?」
「何なの? アリスのくせに、何でそんな我が儘なの?」
「・・・お前に言われたくないよ」
「ぼく我が儘言ってないもん!」
放課後の教室。
まだまだ生徒たちはたくさん残っている。
そんな中で、天使か王子か、という容姿のカノンが愛想の悪い男子生徒に喰って掛かっている。
よく見る光景ではあるが、しかし、たとえ目の前で展開されている出来事なのだとしても、いつもにこやかに微笑んでいるカノンが柳眉を吊り上げているところがどうもしっくりこないのだ。
影武者なのではないか、と疑うものすらいる。
こんな美貌がそうそう転がっているわけもないのでやはり本人なのだろうが、そうするとどうしてもしっくりいかないのだ。
「とにかく、帰れ。本番見に来るんだろう? じゃあそれでいいじゃないか」
「・・・・・・」
「パート練習したり、2、3回通して歌ったり、そんなんだと思うぞ」
「・・・・・・」
「ピアノだったら、また弾いてやるから」
だから聞き分けろ、と暗に告げてくる彼氏に、カノンはみるみるうちにその菫色の瞳にぷっくりと涙を溜めた。
ぎょっとしたキニアンは、慌てた様子で「ちょ、おま」とか「なん、えぇ?!」とか言っている。
そんなキニアンを涙目で睨みつけたカノンは、
「──みんなと練習頑張れば!」
と叫んで教室を出て行った。
呆然とその様子を見送ったキニアンに、「ないわぁ」と呟く少女がひとり。
「・・・何だよ」
「うちの大事なお兄ちゃん、泣かせないでくれる?」
「・・・・・・」
俺のせいかよ、と思いはしたが、きっと自分のせいなのだろうな、とため息を零した。
「・・・なんなんだよ、あいつ。昼間から怒ったり、泣いたり」
「あー、じゃあそれが分かるまで出禁ね」
「はぁ?」
「カノンが恥ずかしがったり嬉しかったりして泣いてるなら何も言わないけど、あれ本泣きだから」
「・・・・・・」
「死ぬほど反省してね」
「・・・だから、何が悪いんだよ」
「それを考えろって言ってるの」
いつだって太陽みたいな笑みを浮かべている花丸元気印の美少女が、嘘のように冷たい瞳をしている。
カノンを追いかけるため教室のドアを開けながら、ソナタは振り返って言ってやった。
「どうしても分からなかったら、ライアンに訊いてもいいわよ」
それだけ告げて、カノンを追ったのである。
*****
小走りにカノンに駆け寄ったソナタは、何も言わずにきゅっとカノンの手を握った。
キニアンに対する態度が嘘のように、シェラ譲りの美貌には心配そうな色が浮かんでいる。
「・・・目、擦ったでしょ」
赤くなってるよ、とハンカチを差し出す。
ありがと、とちいさく呟いて受け取ったカノンは、ソナタの手をぎゅっと握り返した。
自分のものより、更にほっそりとした手。
硬くて、節の高い男の手とは全然ちがうやわらかな手だ。
「──ごめんね」
ふと、ソナタは言った。
顔を上げたカノンは、ほんの少し下にある藍色の瞳をじっと見つめた。
苦笑したソナタは、もう一度「ごめん」と言った。
「私が、ちょっと面白いかな、と思ってキニアンに伴奏勧めたのがいけなかったね」
「そんなこと・・・」
「カノンと一緒にいるときのキニアンがあんまりヘタレてるから、彼が割りとイケメンなんだってこと、すっかり忘れてたわ」
「・・・・・・」
「しかも、楽器弾かせれば3割り増しだし」
「・・・・・・」
「女の子たちにきゃーきゃー言われてるキニアン見て、ちょっと嫌だったんでしょ」
「・・・・・・別に、ぼく・・・・・・」
「邪魔しちゃうと思って、『ぼくのだよ!』って、言えなかったんだよね」
「・・・・・・」
黙ってしまったカノンの頭を、空いた手で撫でてやる。
「大丈夫だと思うよ?」
「・・・でも、女の子ばっかりだもん」
「カノンが一番可愛いよ」
「・・・・・・我が儘だと思われた」
「やきもちだったのにね」
「違うもんっ」
ぷくっと頬を膨らませるカノンに、ソナタはくすくす笑った。
「でも、やっぱり大丈夫だと思うよ?」
「アリス、超鈍感なうっかりだもん。押し倒されたって、気づかないもん」
「いやいや。たぶん、合唱部の子たちはそれどころじゃないと思うんだよね~」
何か含むものがあるような言い方をするソナタに、カノンはこてん、と首を傾げた。
そんな兄に、ソナタはにんまりと笑って教えてやったのだった。
**********
きっと続く。
・・・何でこんな長い話になったんだ、これ。
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