小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
遅起き、健康な身体・・・夢のようですな。いや、でもここ2日くらい早寝なんです。ただ単に寝落ちしてるだけですが(^^;)メール中に寝てしまって、妙な内容を送信してしまっていたり。それでも、6時間くらい寝ていることになるのでちょっとは楽になるかと思いきや、そんなこともなく・・・やはり8時間睡眠は必要ということでしょうか。
もやーん、な気分なのでカノキニでも書こうかと思うんですが、キニアンですらもやーんな感じになりそうです。参ったね、こりゃ。
もやーん、な気分なのでカノキニでも書こうかと思うんですが、キニアンですらもやーんな感じになりそうです。参ったね、こりゃ。
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──音が、響かない。
あれ? と思ったのは授業の合間に自主練習をしているときだった。
特に体調が悪いわけでもないし、何か思い悩んでいることがあるわけでもない。
どんな曲を弾いても相棒はいつもと同じようにお喋りしてくれなくて、何か機嫌を損ねるようなことをしたかな、と首を傾げた。
けれど、さして心配はしていなかった。
この相棒は非常に気難しくて、気分が良いときはそれこそ天上の音楽を奏でてくれるが、へそを曲げるとどんなに宥めすかしてもそっぽを向いたままなのだ。
綺麗に歌ってくれよ、と思いながら弾けば『誰にものを言ってるの?』とばかりに音を響かせてくれるのだけれど、本当に、自分の周りは女王様ばかりだ、と苦笑した。
「──もういい」
ぴしゃり、とよく響く低い声が頭上から叩きつけられた。
思わず首をすくめてしまうほど、大きくはないけれど、強い声だった。
「やる気がないなら、出て行ってもらって構わん」
「──あ、いえ、俺は」
「今の君の音を聴いても、時間の無駄だ」
「・・・・・・」
他にも数人の学生がいる中、アルフレッドは息子にそう言い放った。
「出て行きたまえ」
「・・・・・・」
返す言葉がなくて、でもここに居続けることも出来なくて、キニアンは頭を下げると教室を出た。
その授業のあと、食堂でランチをつつきながらため息を零していたキニアンの元へ、アシュリーがやってきた。
「──出て行きたまえ」
「・・・お前まで」
「マエストロはいつでも、誰にでも厳しいけど、あれはないわよねぇ?」
「・・・いや、俺が悪いんだと思う」
「確かに、いつものあなたの音とは違ったけど」
「全然、口きいてくれないんだ」
「──は?」
「何話しかけても、宥めても、そっぽ向いたままで・・・」
「・・・はぁ」
「ちょっと怒ってやろうかと思ったんだけど、でもこいつが悪いわけじゃないし」
傍らのチェロケースに目を遣り、深々とため息を零す。
「早く機嫌直してくれないかなぁ・・・」
「・・・何か、恋人に対する言葉みたいね」
「恋人じゃないよ。まぁ、相棒みたいなものだけど」
「この子、名前何だっけ?」
「んー、【ラファエル】」
「それは・・・また・・・何というか、ありがたい名前だわ・・・」
「男前な女王様だよ」
「あなたの周りって、そんなのばっかりね」
「俺もそう思う」
自分もそのひとりだという自覚はあるのか、アシュリーはキニアンの隣に腰をおろした。
「で。リアル恋人とは、会ってるの?」
「んー・・・2週間くらい会ってない」
「毎週末は会うんじゃなかったの?」
「そうなんだけど、何か忙しいみたい」
「──フラれそうなわけ?」
「・・・本気でヘコむからやめてくれ」
がっくりと肩を落としたキニアンを、アシュリーは面白そうに笑ってみせた。
「ベタ惚れね」
「はいはい、どうせ片想いですよ・・・」
「──片想い? だって、もう4年付き合ってるんでしょう?」
「何年付き合おうと、俺の片想いなの」
頬杖をついてランチのプレートを見つめるキニアン。
アシュリーは目をぱちくりさせて言ってやった。
「──スランプの原因って、ただの欲求不満なんじゃないの?」
「え?」
これには目を瞠ったキニアンだった。
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続く・・・のかな?
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