小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
YFCのアルバムが届きます。楽しみ~。最近、通勤のときは『ハッピーシンセサイザ』か『LIAR GAME』だったので、TouchじゃないiPodにも出番がやってきました(笑)ふふふ。
それはそうと、今日はホワイトデーですね。まったく関わりがありませんが(笑)何か小ネタを・・・と思っていたのですが、今朝はなぜか頭の中で中高生のヴァンシェラが幅を利かせています。書ける気がしないんですが(笑)無理ゲーっぽいですが、やらかしてみます。
それはそうと、今日はホワイトデーですね。まったく関わりがありませんが(笑)何か小ネタを・・・と思っていたのですが、今朝はなぜか頭の中で中高生のヴァンシェラが幅を利かせています。書ける気がしないんですが(笑)無理ゲーっぽいですが、やらかしてみます。
**********
「あ、あなた付き合ってる子いないって言ったじゃない! 待ってたのに、戻って来なかったし!!」
近寄ってきたと思ったらいきなりそう怒鳴り出した少女に、シェラは目を丸くした。
とても可愛らしい、同年代の男の子たちには非常に人気があるだろう美少女だ。
どうやら彼女の言葉は、シェラの隣にいる男に向けられているらしい。
高校生とは思えない落ち着いた雰囲気を持つ、白皙の貴公子然とした美貌の主。
長身のその男をちらり、と見遣ったシェラだったが、相手はいつも通り顔色ひとつ変えていない。
シェラはこっそりとため息を零した。
──・・・なんで私が、この男のせいで修羅場に巻き込まれなければならないんだ・・・。
別に、今こうしてふたりでいることにも、さしたる意味はないのだ。
リィとルウと、あとなぜかとても不本意だけれどもレティシアも含めて5人で遊ぼうということになって、たまたま待ち合わせ場所に自分が早く着いてしまったらこの男がいた、というだけなのだ。
リィはこの前にちょっと予定があるとのことで自分ひとりが先に出発したわけだが、こんなことなら一緒に来れば良かったと心から後悔していたところだというのに。
だいたい、この男も課題だ何だで忙しいのだから、リィたちの誘いに乗らなければいいのだ。
そうすれば、自分は今見知らぬ少女に射殺されそうな視線で睨まれなくてもいいはずなのに、と痛む頭を抱えそうになった。
「あの、私は」
とりあえず、ここはひとまず誤解を解こう、とシェラは口を開いた。
「──シェラ」
低い声が紡いだその響きに、シェラの背筋は凍った。
菫色の瞳は大きく瞠られ、身体は彫像のように固まったままぴくりとも動かず、呼吸すら止めていた。
ただ、心臓だけが異様な速さで脈打っている。
寒気すら覚えているというのに、血液は力強く全身を巡る。
振り向くことも出来ないで立ち尽くしているシェラに向かって、手が伸ばされた。
長い指が、髪に触れる。
神経など通っていない髪が、相手の体温すら感知した気がして、またひとつ心臓が脈打った。
かつての自分たちであれば、とっくに殺されている。
そんな距離での接触を、自分は許した。
自分の不甲斐なさに、ギリッ、とシェラは歯噛みした。
「きさ」
「花が」
「・・・なに?」
噛み付かんばかりの表情になっていたシェラだったが、背の高い男はシェラの顔には目を向けておらず。
代わりに、触れていた髪から手を離すと「ほら」とばかりにそれをシェラの目に晒した。
「桜だ」
「・・・・・・」
ヴァンツァーが摘んでいるのは、薄紅色の花弁1枚。
頼りなく風に揺れながらも、しっとりと水気を含んだ花弁が男の手の中にある。
それだけのことなのに、なぜかそれが艷めいて感じられて、シェラは目を逸らした。
「っ、ちょっと! 何とか言いなさいよ、この嘘つき!」
あのとき、見たこともないような美少年──ヴァンツァーのことだ──が自分に好意を抱いているのだと疑いもしなかった少女は、その少年の隣にいるのが天使のような美貌の少女──むろんシェラのことだ──だというのが気に入らないらしい。
何せ、悔しいことだが、シェラは彼女よりも見目が美しいのだ。
だが、自分の方が先にこの少年と仲良くなったのに、と思っていることはその表情から簡単に読み取れた。
「お前」
「・・・・・・」
一瞥を向けられた少女は、その藍色の視線のあまりの冷たさに怯んだ。
あのときは、やさしく微笑みかけてくれた。
間違いなく、自分を好いていてくれた。
それなのにどうして、と思っている少女の瞳は、恋が敗れた絶望ではなく、「なぜ自分を選ばないのか」という怒りに色を変えている。
それを見分けられないヴァンツァーであるはずもない。
「俺は、お前に嘘などひとつも吐いていない」
「何言ってんのよ、あなた」
「確かに、あのとき俺には付き合っている人間などいなかった。勉強が忙しいのも事実。だが、あれからどれだけの時間が経っていると思っている?」
「なっ!」
「1年も前のことを持ち出されて、嘘吐き呼ばわりされるのは心外だな」
「・・・だ、だって、あなたわたしのこと」
「ひと言でも、俺はお前に対する好意を口にしたか?」
「──っ!」
ぐっ、と言葉に詰まった少女だった。
確かに、「好きだ」と言われたわけではない。
けれど、この少年の瞳は確かに自分に対する好意を浮かべていたのだ。
口には出せないけれど、「分かって下さい」とばかりに。
「・・・ひどい」
「どちらがだ。一度しか顔を合わせたことのない人間を嘘吐き呼ばわりした上に、公衆の面前で怒鳴り散らすのがお前の礼儀か?」
「っ・・・」
ぐっ、と唇を噛み、目に涙を浮かべる少女を見てさすがに気の毒になったシェラだった。
「・・・おい」
その辺にしておけ、と言おうとしたのに、見上げた男がこちらを見てやさしく──そう、やさしく微笑を浮かべているものだから、言葉を失ってしまった。
「悪い。嫌な思いをさせたな」
「・・・・・・」
「行こう」
何も言えないでいるシェラの肩にそっと手を回すと、ヴァンツァーは呆然としている少女の横を通り過ぎて歩を進めた。
だいぶ歩き、おそらく少女の目にも入らないだろう距離まで来て初めて、シェラは口を開いた。
「おい」
「何だ」
「何だじゃない。手を離せ」
いつまで触れているつもりだ、と固く拳を握っているシェラを見て、ヴァンツァーは形の良い唇に薄っすらと笑みを浮かべた。
「何も言わないから、このままがいいのかと思った」
「寝言は寝て言え!」
パシッ、とヴァンツァーの手を払い、シェラは頭上の美貌を睨みつけた。
「だいたい、待ち合わせ場所から離れてどうする。あんな目立つことしたら、あそこに戻れないじゃないか」
「問題ない」
「何だと?」
「待ち合わせではなく、現地集合になった」
「──は?」
「端末にメールが来ていた。お前のところにも届いているはずだが?」
そんなの知らない、と思い、シェラは慌ててポシェットを探った。
見ると、確かにルウからのメールを1件受信しており、内容は今この男が言った通り。
「気付かないとは、お前らしくもない」
「煩い」
「何か、気を取られることでも」
「──煩いと言っている!」
何だか負けた気がして、シェラはヴァンツァーから顔を背けると歩き出した。
「銀色」
「・・・・・・」
呼ばれて、足を止めた。
「バスを待って乗り継ぐより、車の方が早い。手続きをしてくるから少し待っていろ」
「・・・・・・」
何も言わないでこちらを見つめてくるシェラに、ヴァンツァーはからかうような視線を向けた。
「何だ。ひとりで待っているのが寂しいのか?」
「っ!! さっさと行って来い!!」
気性の荒い天使に背を向けると、ヴァンツァーは珍しく愉しそうな表情を浮かべて歩き出した。
**********
あれ。ちょっとヴァンツァーかっこいい風?(笑)
ホワイトデーまったく関係ないですけどね・・・
「あ、あなた付き合ってる子いないって言ったじゃない! 待ってたのに、戻って来なかったし!!」
近寄ってきたと思ったらいきなりそう怒鳴り出した少女に、シェラは目を丸くした。
とても可愛らしい、同年代の男の子たちには非常に人気があるだろう美少女だ。
どうやら彼女の言葉は、シェラの隣にいる男に向けられているらしい。
高校生とは思えない落ち着いた雰囲気を持つ、白皙の貴公子然とした美貌の主。
長身のその男をちらり、と見遣ったシェラだったが、相手はいつも通り顔色ひとつ変えていない。
シェラはこっそりとため息を零した。
──・・・なんで私が、この男のせいで修羅場に巻き込まれなければならないんだ・・・。
別に、今こうしてふたりでいることにも、さしたる意味はないのだ。
リィとルウと、あとなぜかとても不本意だけれどもレティシアも含めて5人で遊ぼうということになって、たまたま待ち合わせ場所に自分が早く着いてしまったらこの男がいた、というだけなのだ。
リィはこの前にちょっと予定があるとのことで自分ひとりが先に出発したわけだが、こんなことなら一緒に来れば良かったと心から後悔していたところだというのに。
だいたい、この男も課題だ何だで忙しいのだから、リィたちの誘いに乗らなければいいのだ。
そうすれば、自分は今見知らぬ少女に射殺されそうな視線で睨まれなくてもいいはずなのに、と痛む頭を抱えそうになった。
「あの、私は」
とりあえず、ここはひとまず誤解を解こう、とシェラは口を開いた。
「──シェラ」
低い声が紡いだその響きに、シェラの背筋は凍った。
菫色の瞳は大きく瞠られ、身体は彫像のように固まったままぴくりとも動かず、呼吸すら止めていた。
ただ、心臓だけが異様な速さで脈打っている。
寒気すら覚えているというのに、血液は力強く全身を巡る。
振り向くことも出来ないで立ち尽くしているシェラに向かって、手が伸ばされた。
長い指が、髪に触れる。
神経など通っていない髪が、相手の体温すら感知した気がして、またひとつ心臓が脈打った。
かつての自分たちであれば、とっくに殺されている。
そんな距離での接触を、自分は許した。
自分の不甲斐なさに、ギリッ、とシェラは歯噛みした。
「きさ」
「花が」
「・・・なに?」
噛み付かんばかりの表情になっていたシェラだったが、背の高い男はシェラの顔には目を向けておらず。
代わりに、触れていた髪から手を離すと「ほら」とばかりにそれをシェラの目に晒した。
「桜だ」
「・・・・・・」
ヴァンツァーが摘んでいるのは、薄紅色の花弁1枚。
頼りなく風に揺れながらも、しっとりと水気を含んだ花弁が男の手の中にある。
それだけのことなのに、なぜかそれが艷めいて感じられて、シェラは目を逸らした。
「っ、ちょっと! 何とか言いなさいよ、この嘘つき!」
あのとき、見たこともないような美少年──ヴァンツァーのことだ──が自分に好意を抱いているのだと疑いもしなかった少女は、その少年の隣にいるのが天使のような美貌の少女──むろんシェラのことだ──だというのが気に入らないらしい。
何せ、悔しいことだが、シェラは彼女よりも見目が美しいのだ。
だが、自分の方が先にこの少年と仲良くなったのに、と思っていることはその表情から簡単に読み取れた。
「お前」
「・・・・・・」
一瞥を向けられた少女は、その藍色の視線のあまりの冷たさに怯んだ。
あのときは、やさしく微笑みかけてくれた。
間違いなく、自分を好いていてくれた。
それなのにどうして、と思っている少女の瞳は、恋が敗れた絶望ではなく、「なぜ自分を選ばないのか」という怒りに色を変えている。
それを見分けられないヴァンツァーであるはずもない。
「俺は、お前に嘘などひとつも吐いていない」
「何言ってんのよ、あなた」
「確かに、あのとき俺には付き合っている人間などいなかった。勉強が忙しいのも事実。だが、あれからどれだけの時間が経っていると思っている?」
「なっ!」
「1年も前のことを持ち出されて、嘘吐き呼ばわりされるのは心外だな」
「・・・だ、だって、あなたわたしのこと」
「ひと言でも、俺はお前に対する好意を口にしたか?」
「──っ!」
ぐっ、と言葉に詰まった少女だった。
確かに、「好きだ」と言われたわけではない。
けれど、この少年の瞳は確かに自分に対する好意を浮かべていたのだ。
口には出せないけれど、「分かって下さい」とばかりに。
「・・・ひどい」
「どちらがだ。一度しか顔を合わせたことのない人間を嘘吐き呼ばわりした上に、公衆の面前で怒鳴り散らすのがお前の礼儀か?」
「っ・・・」
ぐっ、と唇を噛み、目に涙を浮かべる少女を見てさすがに気の毒になったシェラだった。
「・・・おい」
その辺にしておけ、と言おうとしたのに、見上げた男がこちらを見てやさしく──そう、やさしく微笑を浮かべているものだから、言葉を失ってしまった。
「悪い。嫌な思いをさせたな」
「・・・・・・」
「行こう」
何も言えないでいるシェラの肩にそっと手を回すと、ヴァンツァーは呆然としている少女の横を通り過ぎて歩を進めた。
だいぶ歩き、おそらく少女の目にも入らないだろう距離まで来て初めて、シェラは口を開いた。
「おい」
「何だ」
「何だじゃない。手を離せ」
いつまで触れているつもりだ、と固く拳を握っているシェラを見て、ヴァンツァーは形の良い唇に薄っすらと笑みを浮かべた。
「何も言わないから、このままがいいのかと思った」
「寝言は寝て言え!」
パシッ、とヴァンツァーの手を払い、シェラは頭上の美貌を睨みつけた。
「だいたい、待ち合わせ場所から離れてどうする。あんな目立つことしたら、あそこに戻れないじゃないか」
「問題ない」
「何だと?」
「待ち合わせではなく、現地集合になった」
「──は?」
「端末にメールが来ていた。お前のところにも届いているはずだが?」
そんなの知らない、と思い、シェラは慌ててポシェットを探った。
見ると、確かにルウからのメールを1件受信しており、内容は今この男が言った通り。
「気付かないとは、お前らしくもない」
「煩い」
「何か、気を取られることでも」
「──煩いと言っている!」
何だか負けた気がして、シェラはヴァンツァーから顔を背けると歩き出した。
「銀色」
「・・・・・・」
呼ばれて、足を止めた。
「バスを待って乗り継ぐより、車の方が早い。手続きをしてくるから少し待っていろ」
「・・・・・・」
何も言わないでこちらを見つめてくるシェラに、ヴァンツァーはからかうような視線を向けた。
「何だ。ひとりで待っているのが寂しいのか?」
「っ!! さっさと行って来い!!」
気性の荒い天使に背を向けると、ヴァンツァーは珍しく愉しそうな表情を浮かべて歩き出した。
**********
あれ。ちょっとヴァンツァーかっこいい風?(笑)
ホワイトデーまったく関係ないですけどね・・・
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