小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
なぜかGW終了間際に鼻風邪をひきました。結構流行っているという話を聞いたので、橘も流行に乗ってみました。「乗らなくていいんだよ、そんな流行」と言われました。あは(*^^*)
10日あったGWですが、前半は妹様たちとおばの家で過ごし、後半は風邪と闘いつつ自宅でまったり。友人と飲みに行ったりもしました。いつも通り遠出はしませんでしたが、4月もアホみたいに忙しかったので、頭空っぽにできて良かったかな、と。
連載物は何も進められなかったので、小ネタをば。・・・書けるかな。
10日あったGWですが、前半は妹様たちとおばの家で過ごし、後半は風邪と闘いつつ自宅でまったり。友人と飲みに行ったりもしました。いつも通り遠出はしませんでしたが、4月もアホみたいに忙しかったので、頭空っぽにできて良かったかな、と。
連載物は何も進められなかったので、小ネタをば。・・・書けるかな。
**********
「お前が俺に頼み事なんて珍しいな」
飴色の瞳を子どものように煌めかせて、レティシアは美貌の友人に笑いかけた。
付き合いはそこそこ長いし、黄金の戦女神の生まれ故郷で生き返ってからは以前よりも気安い仲になった気がしていた。
お互い学業がかなり忙しいし所属する学校も違うが、寮が一緒なので顔を合わせる機会はそれなりにある。
「教えて欲しいことがあるんだ」
昔よりも格段に明るくなった青い瞳はいやに真剣で、レティシアは内心で首を捻った。
「教えて欲しい」と言われても、在籍する学校では『学園創立以来の秀才』との誉れ高い青年だ。
学業面で自分に訊ねることなどないだろう、とレティシアは思うのだ。
「ふぅん、ホント珍しいな」
珈琲一杯が目の前にあるだけのヴァンツァーと違い、レティシアの前にはケーキやらホットサンドやら甘い飲み物やらが大量に置かれている。
食べ物とヴァンツァーへの興味はほぼ半々で、若干友人に傾いているくらいだろうか。
「何だい、教えて欲しいことって?」
「あぁ──女の口説き方だ」
「──俺必要?!」
思わず口の中のものを吹き出しそうになったレティシアだった。
高校では『永久凍土の貴公子』と呼ばれ、女子生徒はもちろん、時には男子生徒や教員までもが熱を上げるほどの美形だ。
わざわざ口説かずとも勝手に向こうが惚れるというのが常であり、『仕事』をしているときも、明確な口説き文句は使わず、思わせぶりな態度だけ見せて相手に惚れさせるのがヴァンツァーのやり方だったはずだ。
「あの可愛い彼女か?」
「ビアンカは友達だと言っている」
「じゃあ誰だよ。女優の姐さんか?」
「ジンジャーも友達だ」
それ以前に、あんな扱いづらい女はゴメンだ、と秀麗な顔に書いてある。
「まぁ、正確には女ではないんだが」
呟かれた言葉で、何となく相手が分かったレティシアだった。
「なぁ・・・それって俺余計に必要なくねぇか?」
蛇蝎の如く嫌われている自覚はあるので、目の前の明晰な頭脳の男が何を考えているのかさっぱり分からないレティシアだった。
「もっと言うなら、口説きたいわけでもないんだ」
「あ?」
「何というか・・・──話をしたい」
大真面目な顔をして組んだ手の上に顎を置くヴァンツァーに、レティシアも同じような態度を取った。
「青春だなぁ、ヴァッツよ」
生暖かい目をしてくる友人に、ヴァンツァーは思い切り嫌そうな顔になった。
「・・・何か勘違いをしていないか? 俺は言葉通りの意味で」
「お前は俺と違って嫌われてるわけでも、目の敵にされてるわけでもねぇんだぜ? 話くらい、普通にしてくれるだろう」
「話題に困る」
「・・・・・・」
どこまでも真剣な様子の友人に、レティシアは呆れるのを通り越して笑い出したくなった。
「ぶはっ!」
「おい」
心のままに笑い出した友人に、ヴァンツァーはさすがに咎める顔つきになった。
「だっ! おまっ! ひひっ!!」
「・・・もういい」
席を立とうとするヴァンツァーの手を掴む──ことは出来なかったわけだが、帰ろうとするのを止めることには成功した。
「ベタなのでもいいか?」
「策があるのか?」
「そんな大層なもんじゃねぇよ。古今東西、仲良くなるには一番の方法だけどな」
ニヤリ、と猫のような瞳を光らせる友人の言葉に、ヴァンツァーは耳を傾けた。
+++++
「──へぇ、それでヴァンツァーはデザイナーになったんですか!」
若葉色の瞳を輝かせている弟分兼義理の息子に、ヴァンツァーは笑顔で頷いた。
「確かに、共通の話題を持つというのは手ですよね」
金髪碧眼の美人も『うんうん』と頷いている。
「そう考えると、俺キューピッドじゃねぇ?」
そして珍しくこの場にいる多忙な医者は、ファロット邸のリビングで行われている男だけの酒盛り大会を楽しんでいる。
「まぁ、さすがにヴァッツがこんなに子沢山な家庭を築くとは思わなかったけどな」
双子は現在、四つ子の子どもたちを寝かしつけ中だ。
みんな仲良く健やかに育ってくれていることは、レティシアにとっても非常に喜ばしいことだった。
「みんなレットさんが取り上げたんでしょう?」
「まぁね」
満更でもなさそうな顔でグラスを傾ける男の背後で、「ふん」と鼻を鳴らしたのはシェラだ。
その手には酒肴の乗った盆。
軽くつまめる冷菜やサラダは既に出されていて、今作ってきたのは肉料理だ。
数種類のハーブと一緒に焼かれた豚肉からは香ばしさと質の良い脂の匂いが漂ってきて、青年ふたりの目が輝いた。
どちらかと言えば野菜や魚の方が好きだったキニアンだが、ファロット家で食事をするようになって肉料理の旨さに目覚めた。
シェラは大層な料理上手だったが、大人数で食事をするとより旨く感じることも知った。
「男の身体から子どもを取り上げるなんて、普通の神経の人間には出来ないからな」
「あんな言い方してるけどな、『子どもたちだけは無事に生まれさせてく』」
「──お前は肉なしだ!」
レティシアの暴露に、シェラは顔を真っ赤にして肉の乗った皿を彼から一番遠い位置に置く。
「何でだよ! 俺は本当のことしか言ってねぇだろうが!」
「煩い!」
「食わせろ!」
「嫌だ!」
ぐぬぬ、と睨み合っているふたりの様子など気にせず、ヴァンツァーはぽかんとしている青年ふたりに肉を取り分けてやった。
「こんないい匂いさせておいて食えねぇって、拷問だぞ?!」
「だから?!」
一触即発といった感じのふたりを尻目に、ヴァンツァーは義理の息子たちに「食べなさい」と言って自分の皿にも肉を取る。
「で、でも、ヴァンツァー」
「平気だよ」
いきなり始まった喧嘩に不安そうな表情を浮かべるキニアンに、ヴァンツァーは泰然とした態度を崩さない。
「どうしても食べたいなら『お願いします』って」
「お願いします!」
「お前にはプライドがないのか?!」
「お前だって頭下げただろうが!!」
「──っ!!」
ぐっ、と言葉に詰まったシェラは、くすくすと漏らされた忍び笑いに、キッ、とそちらを睨みつけた。
「ヴァンツァー!」
「なぁ、俺からも頼むよ」
食べさせてやってくれ、と笑みを浮かべている男に、シェラはとても、とても悔しそうな顔になった。
「・・・お前は金払えよ」
「いくら?」
「え・・・い、いちまん?」
「──安くね?!」
料理の旨さはもちろん、ヴァンツァーの秘蔵の酒まで飲み放題でそれは安すぎる。
「え? や、安いの・・・?」
相場の倍はふっかけたのに、と不安そうな顔で見つめてくるシェラの手を引き、膝の上に乗せるヴァンツァー。
「あいつは優秀な医者だからな。とりあえず、その10倍くらい取ってもレティーの懐は微塵も痛まないぞ」
「そうか・・・」
「だから、金を払ってもらうより、恩を売っておいた方が得だと思うんだ」
にこやかなヴァンツァーの言葉に、シェラがほわぁぁぁぁっ、と表情を明るくした。
その様子に、鈍感と言われるキニアンも気付いたことがある。
「・・・シェラ、結構酔ってるな」
「飲みながらキッチンとここ、だいぶ往復してるからね。そこに怒って興奮しちゃったら一発だ」
元々強くないし、といくら飲んでもほとんど酩酊感すら覚えないライアンも苦笑する。
「──じゃあ、今度子ども出来たら、出産費用タダにしてもらう!」
嬉しそうな顔でそんなことを言い出すシェラに、ヴァンツァー以外の男たちは口にした酒を吹き出しそうになった。
「あぁ、そうだな」
よしよし、と銀髪を撫でている男は当然のような顔で受け答えをしていて、動揺している様子はない。
そんなふたりを見て、レティシアは「ふはっ」と笑った。
そして、こう言ったのだ。
「──おう! 孫の代まで俺に任せろ!」
**********
ソナタの子どもたちは、みんなレティーが取り上げますよ~。
お粗末さまでした。
「お前が俺に頼み事なんて珍しいな」
飴色の瞳を子どものように煌めかせて、レティシアは美貌の友人に笑いかけた。
付き合いはそこそこ長いし、黄金の戦女神の生まれ故郷で生き返ってからは以前よりも気安い仲になった気がしていた。
お互い学業がかなり忙しいし所属する学校も違うが、寮が一緒なので顔を合わせる機会はそれなりにある。
「教えて欲しいことがあるんだ」
昔よりも格段に明るくなった青い瞳はいやに真剣で、レティシアは内心で首を捻った。
「教えて欲しい」と言われても、在籍する学校では『学園創立以来の秀才』との誉れ高い青年だ。
学業面で自分に訊ねることなどないだろう、とレティシアは思うのだ。
「ふぅん、ホント珍しいな」
珈琲一杯が目の前にあるだけのヴァンツァーと違い、レティシアの前にはケーキやらホットサンドやら甘い飲み物やらが大量に置かれている。
食べ物とヴァンツァーへの興味はほぼ半々で、若干友人に傾いているくらいだろうか。
「何だい、教えて欲しいことって?」
「あぁ──女の口説き方だ」
「──俺必要?!」
思わず口の中のものを吹き出しそうになったレティシアだった。
高校では『永久凍土の貴公子』と呼ばれ、女子生徒はもちろん、時には男子生徒や教員までもが熱を上げるほどの美形だ。
わざわざ口説かずとも勝手に向こうが惚れるというのが常であり、『仕事』をしているときも、明確な口説き文句は使わず、思わせぶりな態度だけ見せて相手に惚れさせるのがヴァンツァーのやり方だったはずだ。
「あの可愛い彼女か?」
「ビアンカは友達だと言っている」
「じゃあ誰だよ。女優の姐さんか?」
「ジンジャーも友達だ」
それ以前に、あんな扱いづらい女はゴメンだ、と秀麗な顔に書いてある。
「まぁ、正確には女ではないんだが」
呟かれた言葉で、何となく相手が分かったレティシアだった。
「なぁ・・・それって俺余計に必要なくねぇか?」
蛇蝎の如く嫌われている自覚はあるので、目の前の明晰な頭脳の男が何を考えているのかさっぱり分からないレティシアだった。
「もっと言うなら、口説きたいわけでもないんだ」
「あ?」
「何というか・・・──話をしたい」
大真面目な顔をして組んだ手の上に顎を置くヴァンツァーに、レティシアも同じような態度を取った。
「青春だなぁ、ヴァッツよ」
生暖かい目をしてくる友人に、ヴァンツァーは思い切り嫌そうな顔になった。
「・・・何か勘違いをしていないか? 俺は言葉通りの意味で」
「お前は俺と違って嫌われてるわけでも、目の敵にされてるわけでもねぇんだぜ? 話くらい、普通にしてくれるだろう」
「話題に困る」
「・・・・・・」
どこまでも真剣な様子の友人に、レティシアは呆れるのを通り越して笑い出したくなった。
「ぶはっ!」
「おい」
心のままに笑い出した友人に、ヴァンツァーはさすがに咎める顔つきになった。
「だっ! おまっ! ひひっ!!」
「・・・もういい」
席を立とうとするヴァンツァーの手を掴む──ことは出来なかったわけだが、帰ろうとするのを止めることには成功した。
「ベタなのでもいいか?」
「策があるのか?」
「そんな大層なもんじゃねぇよ。古今東西、仲良くなるには一番の方法だけどな」
ニヤリ、と猫のような瞳を光らせる友人の言葉に、ヴァンツァーは耳を傾けた。
+++++
「──へぇ、それでヴァンツァーはデザイナーになったんですか!」
若葉色の瞳を輝かせている弟分兼義理の息子に、ヴァンツァーは笑顔で頷いた。
「確かに、共通の話題を持つというのは手ですよね」
金髪碧眼の美人も『うんうん』と頷いている。
「そう考えると、俺キューピッドじゃねぇ?」
そして珍しくこの場にいる多忙な医者は、ファロット邸のリビングで行われている男だけの酒盛り大会を楽しんでいる。
「まぁ、さすがにヴァッツがこんなに子沢山な家庭を築くとは思わなかったけどな」
双子は現在、四つ子の子どもたちを寝かしつけ中だ。
みんな仲良く健やかに育ってくれていることは、レティシアにとっても非常に喜ばしいことだった。
「みんなレットさんが取り上げたんでしょう?」
「まぁね」
満更でもなさそうな顔でグラスを傾ける男の背後で、「ふん」と鼻を鳴らしたのはシェラだ。
その手には酒肴の乗った盆。
軽くつまめる冷菜やサラダは既に出されていて、今作ってきたのは肉料理だ。
数種類のハーブと一緒に焼かれた豚肉からは香ばしさと質の良い脂の匂いが漂ってきて、青年ふたりの目が輝いた。
どちらかと言えば野菜や魚の方が好きだったキニアンだが、ファロット家で食事をするようになって肉料理の旨さに目覚めた。
シェラは大層な料理上手だったが、大人数で食事をするとより旨く感じることも知った。
「男の身体から子どもを取り上げるなんて、普通の神経の人間には出来ないからな」
「あんな言い方してるけどな、『子どもたちだけは無事に生まれさせてく』」
「──お前は肉なしだ!」
レティシアの暴露に、シェラは顔を真っ赤にして肉の乗った皿を彼から一番遠い位置に置く。
「何でだよ! 俺は本当のことしか言ってねぇだろうが!」
「煩い!」
「食わせろ!」
「嫌だ!」
ぐぬぬ、と睨み合っているふたりの様子など気にせず、ヴァンツァーはぽかんとしている青年ふたりに肉を取り分けてやった。
「こんないい匂いさせておいて食えねぇって、拷問だぞ?!」
「だから?!」
一触即発といった感じのふたりを尻目に、ヴァンツァーは義理の息子たちに「食べなさい」と言って自分の皿にも肉を取る。
「で、でも、ヴァンツァー」
「平気だよ」
いきなり始まった喧嘩に不安そうな表情を浮かべるキニアンに、ヴァンツァーは泰然とした態度を崩さない。
「どうしても食べたいなら『お願いします』って」
「お願いします!」
「お前にはプライドがないのか?!」
「お前だって頭下げただろうが!!」
「──っ!!」
ぐっ、と言葉に詰まったシェラは、くすくすと漏らされた忍び笑いに、キッ、とそちらを睨みつけた。
「ヴァンツァー!」
「なぁ、俺からも頼むよ」
食べさせてやってくれ、と笑みを浮かべている男に、シェラはとても、とても悔しそうな顔になった。
「・・・お前は金払えよ」
「いくら?」
「え・・・い、いちまん?」
「──安くね?!」
料理の旨さはもちろん、ヴァンツァーの秘蔵の酒まで飲み放題でそれは安すぎる。
「え? や、安いの・・・?」
相場の倍はふっかけたのに、と不安そうな顔で見つめてくるシェラの手を引き、膝の上に乗せるヴァンツァー。
「あいつは優秀な医者だからな。とりあえず、その10倍くらい取ってもレティーの懐は微塵も痛まないぞ」
「そうか・・・」
「だから、金を払ってもらうより、恩を売っておいた方が得だと思うんだ」
にこやかなヴァンツァーの言葉に、シェラがほわぁぁぁぁっ、と表情を明るくした。
その様子に、鈍感と言われるキニアンも気付いたことがある。
「・・・シェラ、結構酔ってるな」
「飲みながらキッチンとここ、だいぶ往復してるからね。そこに怒って興奮しちゃったら一発だ」
元々強くないし、といくら飲んでもほとんど酩酊感すら覚えないライアンも苦笑する。
「──じゃあ、今度子ども出来たら、出産費用タダにしてもらう!」
嬉しそうな顔でそんなことを言い出すシェラに、ヴァンツァー以外の男たちは口にした酒を吹き出しそうになった。
「あぁ、そうだな」
よしよし、と銀髪を撫でている男は当然のような顔で受け答えをしていて、動揺している様子はない。
そんなふたりを見て、レティシアは「ふはっ」と笑った。
そして、こう言ったのだ。
「──おう! 孫の代まで俺に任せろ!」
**********
ソナタの子どもたちは、みんなレティーが取り上げますよ~。
お粗末さまでした。
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