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小ネタや更新記録など。妄想の赴くままに・・・
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暑い日が続きます。そして、待ちに待った週末です。来週は、今週休日出勤した分の振休を取って、水曜にお休みもらいました。ひっさびさのねずみーしーに行ってきます。わくわく。すんごい久々(笑)そして、こちらも久々に車で行きます。マイカー持った運転上手のお友達がいると助かります(コラ)
でね、でね、ねずみー行って、ワールドイズマインごっこしてくるの(笑)カノキニで書いたストーリーをとりあえずなぞってみよう、という話になっているのでね。ふふふ。あんま流れ覚えてないけど(笑)

さて、久々に『カノキニ』とか出てきましたけど、単語だけで終了です(コラ)だってさー、もうさー、しょーがないじゃん。橘があんまりサムライサムライ言うもんだから、最近はサムライしか書いてないのにちらほら拍手があったり(笑)いや、何に対する拍手かは存じませんが(笑)
カンキュウ? カンシチ? とか思ってましたけど、ゴロハチもいいし、最近ヒョーキュウも熱いです。ちょっと神経質なヒョーゴさんが、オカンのようにキュウゾウさんをどやしつつ、でも甘やかしているといい。とてもいい。
アニメのヒョーゴさんは、ちょっと外見がオカンすぎる気がしなくもないんですが(笑)もうちょっと、こう、服装とか、気にかけてあげると、結構イイ男になるんじゃねーかと。ってか、なれ(コラ)草尾ボイスもいいよねー。

式杜人の洞窟を抜けたところでの、キュウゾウがヒョーゴたちと決別する第9話はとても好きなんですが、ここってヒョーゴさんの見せ場なので、かっこ良く書いてあげたいなー、とか。小説版ではどうなってるか知らないけどね。たぶん、ここのヒョーゴさんはめちゃくちゃかっこいいと思う。

いってみよ。言うまでもないですが、90%以上捏造です。


**********

──生きて、欲しかった。

大陸を南北ふたつに分けた大戦の終盤、『紅い死神』と呼ばれ、敵からも味方からも恐れられた同僚。
5つか6つほど年下だろうか。
当時の自分も二十歳そこそこだったが、あいつはその華奢な外見もあってまるっきり子どもだった。
たんぽぽの綿毛のような金髪、切れ長の紅い瞳、するりと滑らかな、むき卵のような肌は真っ白で。
その目付きの悪ささえなければ、女だと思ったかも知れない。
そんな細い腕で扱えるのか、と誰もが訝る背中の双刀。
軍部に招集された新人は、まずは腕前のほどを確かめるために訓練場へと連れていかれる。
藁でくるんだ丸太を斬る、それだけのこと。
しかし、実際に丸太を真っ二つに出来る新人はなかなかおらず、せいぜいが数センチ刃をめり込ませる程度。
酷い時には刀の方が折れてしまうこともある。
身長も低く、手足がひょろりと長い、見た目だけは抜群に綺麗な子どもを前に、とりあずの配属先となっている南軍の空軍遊撃部隊第12小隊の連中は、誰もが薄笑いを浮かべていた。

「子どもはさっさと帰りな」
「オンナみたいな面ぁしやがって」
「まだおしめも取れてねぇんじゃねーか?」
「見ろよ、あのほっせぇ腕! 片手で折れるぜ!」

小煩い雑音には俺も辟易したが、当の本人は至って無表情──その年では不自然なほど、ぴくりとも表情が動かない。
馬鹿にされていることは分かるだろうに、まるで耳に入っていないかのような振る舞い。
ただただ、真っ直ぐに丸太人形を見据えている。

──チャッ・・・

背に負った双刀を、鞘から抜く。
左は順手、右は逆手。
軽く腕を開いた、自然な姿勢──そう、あまりにも自然すぎた。
まるで、もう何年もその刀を扱っているかのような、馴染んだ愛刀を手にしているかのような姿。

──・・・こいつ・・・。

もしかすると、もしかするかも知れない。
そう、俺が思った直後。

「・・・──参る」

呟きとともに、逆手に持たれていた右手の刀を順手に持ち替え──そこから生まれる、一陣の風。

──カランカラン・・・

風が通り過ぎたあとは、乾いた音。
あっという間の出来事に、小隊の連中は皆目を瞬かせていた。
何が起こったのか分からぬ、という風に小首を傾げるものもあったが、何があったかは現場を見れば明白。
目にも留まらぬ、とはまさにこのこと。
ふたつ並んだ丸太人形の間をすり抜ける瞬間、両手の刃からの一閃にて両断。
近くで見たわけではないが、その切り口は僅かな繊維の乱れもないはず。
双刀も既に鞘へと納められたあとだ。
あまりにも鮮やかな手並みに、誰も口を開けないでいた。

──パンパンパン。

乾いた音を立てて、手を叩く。

「お見事」

俺の声に、小隊の連中は声を取り戻した。
どよめきというよりは、ざわめき。
新人は振り返り、じっとこちらを見つめてくる。
長い前髪によって出来た影のせいで鳶色の瞳かとも思ったが、違う。
紅い──夕焼けの色だ。
どうして、自分に馴染みのある血の色が連想されなかったのかは分からない。
けれど、それは確かに朱金に輝く夕陽の色をしていた。

「名は?」
「・・・キュウゾウ」
「俺はヒョーゴ。この小隊の隊長をしている」
「・・・隊長?」

訝る口調。
疑わしげな視線は、なぜその年で、と思っているからだろう。

「南軍は・・・特に遊撃部隊は完全な実力主義だ。出自も年齢も関係ない。強ければ、出世は望むままだ」
「おぬしは、強いのか?」

ざわり、と空気が揺れる。
不遜な小僧の物言いにカッとなるものもいたようだが、俺にはむしろ愉快だった。

「そうさな──試してみるか?」

にやり、と口角を上げ、鯉口に手をかける。
紅い目がじっと見つめてくるのは、こちらの思惑を読むためか、それとも間合いを図っているのか。

「・・・ひとつ、訊く」
「何だ」
「この軍は、実力主義と言った」
「いかにも」
「では、おぬしを斬ったら、俺が隊長か?」
「──・・・」

一瞬虚を疲れ、次いで笑いが込み上げてきた。

「くっ・・・くっくくく・・・」

何がおかしい、と思っている顔で首を傾げる。
作り物めいた無表情だと思ったが、そうでもないらしい──隊の他の連中には違いが分からぬらしいが。

「おぬし、隊長になりたいのか?」
「・・・否」

ふるふると金の頭を振る若侍──そう、俺はこいつを既にそう認めていた──は、淡々とした口調で言った。

「人を纏めたり、指示を出したりは面倒だ。だったら、あんたを斬るわけにはいかない」
「──こんの、クソガキ!!」
「良い」
「ヒョーゴさん!」
「良いではないか。このくらいの方が面白い──キュウゾウ、と言ったか」

いきり立つ部下を制し、顔を向ければ頷きが返った。

「おぬしは、俺と一緒に斬艦刀に乗れ」

言った途端、訓練場内は色めき立った。
小隊とはいえ、遊撃部隊の隊長と一緒に斬艦刀に乗るということは、名誉であるとともにその高い実力を認められたということだ。
それが、なぜこんな新人に、というのは分からなくもない。
だが、俺はこの小柄な侍と天空を翔けてみたかった。

「あんたは操縦士か?」
「いや」
「では、俺が?」
「まぁ、そうなるな」
「断る」

またもやどよめき。
この男、敵を作るのに苦労はなさそうだ。
正直すぎて、言葉を飾るということを知らない。

「くっくく。そんなに斬りたいか?」
「斬りたいと思ったことはない。斬るか、斬れないか、それだけだ」
「なるほど。練達との切り結び、己の腕の向上のみを望む、か」

まぁ、俺自身腕に覚えはあったものの、別段操縦士に回っても構わなかったわけだが。

「では、戦績を競うか」
「・・・競う?」
「そう。日ごと操縦を代わり、敵をどれだけ斬ったか数を競う。もちろん、雷電や紅蜘蛛、戦艦クラスの大物であればその分上乗せだ」
「競ってどうする」
「どうもせん。ただ、戦力はいくらでも欲しいが、それなり休息も必要ゆえ。戦闘機を操縦出来て困るということもあるまい」
「・・・・・・承知」

こっくりと頷きが返り、交渉は成立した。
それから数年間、俺たちふたりは無敵だった。
時折別の人間に操縦を任せ、ふたりで突っ込むこともあった。
相手が雷電だろうが紅蜘蛛だろうが、本丸の主砲だろうが、負ける気がしなかった。
愉しい、と。
敵を屠ることではなく、この男と背中を合わせて、また隣に並んで戦うことが愉しいと思った。
少々癪ではあったが、どうやら腕はキュウゾウの方が上らしい。
だが、その鬼神のごとき活躍を目の前で見せ付けられ、俺はおろか最初は不満だった部隊の連中も、早々に納得させられることとなった。

剣を頼りに、剣にのみ生きる。

その姿はまさに剣鬼。
だが、戦い方は至って華麗。
並み居る敵の間を縫うように駆け、通り過ぎたあとには屍の山。
最小限の動きで相手を制するのが、ヤツの面倒くさがりな性格故と知ったのは一緒に戦うようになってひと月も経たない頃だった。
傷を負っても気にしないわ、服が破れても気にしないわ、出される食事に文句を言わないのは軍人として当然と言えば当然だが、しかし噛むのが面倒とほとんど丸呑み、焼き魚は骨を取るのが面倒と手をつけず、一汁三菜出たならば何から手をつけるのか考えるのが面倒で米だけ食べて終わり。
最初のうちは慣れない戦闘で気が立っているのかとも思ったが、華麗な剣舞を見せる男が剣以外は本気でどうでもいいらしいずぼらな人間なのだと気づくのにそう時間は掛からなかった。
戦の世に生活感も何もないが、まるで当人が刀であるかのような、生きている匂いを感じさせない男なのだと気づいたときは思わず顔を顰めたものだ。
その分、戦闘においては他の追随を許さず。
身体は華奢で背丈もそうそう高くはないが、肩は異様なほどに強く、また力を加えるべき僅かな点を捉える眼も確かだった。
軽く撫でるように振るわれた刀が、やわらかな豆腐か何かのように雷電を斬るのを見たときは、何かの冗談だと思って笑えてきたほど。
嬉々として敵を屠るわけでなく、ただ淡々と無表情に。
それでも、手練と思われる相手と戦ったあとは、ほんの僅かに興奮したような面持ちで。

「愉しそうだな」
「・・・強かった」
「だが、お前が勝った」

こくり、と頷く。
きらきらと輝くように見えていた朱金の瞳が、しかししばらくすると昏く翳った。
飢えている、と。
腕に覚えのあるものはいないのか、という眼。
静謐の中に狂おしいほどの激情を押し込めた瞳。

──・・・早死するな。

そう、思った。
生き急いでいる。
まだ、二十歳になるかならぬかの身で。
夏の夜空を彩る花火のように、ほんの刹那、派手に咲いて散りゆくような。
刀を持たせれば敵なしという男なのに、戦場を離れれば嘘のように大人しく。
その秀麗な横顔は、今にも空気に溶けて消えていきそうに儚い。

──なんとも、もったいないことよ。

そう思ったからだろうか。
怪我をすれば半ば無理やりにでも手当てを受けさせ、そうそう満足な食事でもないが偏りのないようすべて平らげさせ。
せっかくの見目なのだからせいぜい派手に着飾って暴れろ、と身の軽さを制限せず、さりとて防御性も損なわない程度の服を調達してやり。
嫌がるかとも思ったが、反抗するのも面倒だったのか、最初の頃に少しばかり睨まれた以外は特に拒否されることもなく。
寡黙な男に口で勝つのは随分と容易かった。

「──俺と来い」

戦が終わり、刃を向ける先を失ったキュウゾウは、どこか途方に暮れた表情をしていた。
だから、声を掛けた。
世渡りの術は心得ている。
これからは商人の時代、取りいった相手が大都市の差配だったこともあり、キュウゾウひとり増えたところで給金を渋るようなこともなく。
むしろ、その腕をほどを見て是非に、と言ったほど。
それからは、退屈そうにしているものの、文句を言うでなく。
もらう相当な額の給金は、刀の手入れ以外には酒にも女にも使っているのを見たことがない。
表立っての護衛の仕事も、秘密裏の暗殺も、何でもこなしてきた。
大戦に比べれば、随分と安全な仕事。
俺にとってすらそうなのだから、キュウゾウにとってはなおのこと。
目を瞑っていても勝てるような相手ばかり。
退屈ではあったが、安泰は約束された日々。
それでいい、と思った。
この、死に急ぐ男を、しばし現世に繋ぎ止められるならば、と。

そんな中で、ある男が俺たちの前に現れた。



**********

もちっと続く。
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